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1987 Fiscal Year Annual Research Report

敦煌出土チベット文字転写「長巻」の漢語史的研究

Research Project

Project/Area Number 62510244
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

高田 時雄  京都大学, 教養部, 助教授 (60150249)

Keywords漢語史 / 中国語音韻史 / 河西方言 / 敦煌文書 / 蔵漢対音 / チベット文字 / 敦煌禅文献 / 長巻
Research Abstract

本年度の研究によって得られた成果は以下の如くである.
1.文書の比定 チベット文字で書かれた「長巻」の漢文原典は, 嘗てW.サイモン氏によって大約の見当がつけられていたが, 今回の調査によって新たに以下の部分が判明した. 即ち表面の第二七八行から二九〇行はスタイン文書中のS.5551「斎日行事」に極めて近い性質の文書であり, その内容は初めに書かれてある文字からサイモン氏が推測しているような「地蔵菩薩経」ではない. 背面の初めから第十四行まではペリオ文書P.2690に見える「南宗讃」に当たる. 同様に第十四行以下は俗曲の「十二時」に当たる. これは敦煌文書中に多くのテキストが存在するが, 完全に一致するものはまだ見いだせない. しかしその漢字還元は多くの部分が類推によって可能である. 第九十二行以下は「礼懺文」の類であり, 完全に同じテキストを見出すには困難がある. ただ第一五九行以下はP.2692の「寅朝礼懺文」に一致する. 既に分かっている部分, 表面の「大乗中宗見解」, 「南天竺国菩提達磨禅師観門, 「十方神真言」などを合わせると, ほぼ半分程度が原典の漢字還元が可能となったといえる.
2.対音の整理 漢字に還元し得る部分の音節単位ごとの整理は, ほぼ出来上がっており, 漢字一字毎の対音形をその中古音音類に従って出現条件とともに表示することが可能となっている.
3.暫定的な結論と展望 この「長巻」の対音が反映する音形は基本的には十世紀の敦煌で日常に使用された河西方言音であるが, 内に含まれる各テキストによって転写の上で若干の違いが見て取れる. これは一般的に蔵漢対音資料に於て, 方言の別と転写方式の違いとを弁別する上での鍵となり得る. また「長巻」に含まれるテキストは主として禅関係のものであり. 仏教史的にも興味深いものがある.

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Published: 1989-03-20   Modified: 2016-04-21  

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