1987 Fiscal Year Annual Research Report
悲劇理論とその適用-ギリシア悲劇とエリザベス朝悲劇の比較研究
Project/Area Number |
62510257
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
笹山 隆 関西学院大学, 文学部, 教授 (90046904)
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Keywords | 悲劇 / ギリシア悲劇 / エリザベス朝悲劇 / アリストテレス / カタルシス / 演劇理論 |
Research Abstract |
本研究は来年度も継続されることになっており, 従って本年度は概ね基礎的作業に費された. (研究成果は来年度末に発表する予定)それは一口に言って, 18世紀以降のヨーロッパの代表的悲劇論の根幹を具体的に把え, それらをいくつかの系譜に分類すると共に, 今世紀のさまざまな悲劇理論のそれぞれについてその形而上的, 美学的立場を明確化し, それによって古今の悲劇論全体の見取り図を作成する作業であった. その際に重要な問題点として取り出したものは次の通りである- 1アリストテレス的悲劇構成要素の一般的適用性(特に「性格」と「行為」) 2「カタルシス」を構造概念とするか, それとも受容心理概念とするか 3悲劇的「壮大」および「快感」の本質 4'suffering'の形態と意味 5キリスト教は悲劇の可能性を排除するか 6文学的悲劇と日常的悲劇の関係 来年度はこうした悲劇論の比較考察を通じて浮かび上がらされたギリシア悲劇の特性とエリザベス朝悲劇の特性が, より大きな観念的枠組の中に取り入れられ得るか否かの問題が, 中心課題となるはずである.
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