1988 Fiscal Year Annual Research Report
コンピューター・グラフィックスによるウラル語古音声資料の分析
Project/Area Number |
62510267
|
Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
下村 五三夫 小樽商科大学, 商学部, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 之江 小樽商科大学, 商 学部, 助手 (50175717)
|
Keywords | ウラル語古音声資料 / ドンネル / ネネツ語声門化音 / ワックスレコード中の「赤いサラファン」 |
Research Abstract |
ドンネルと及びカンニスト資料のうち、当時のワックス・レコードのパラメーターを把握する目的で、ドンネル資料の25番のロシア民謡を詳しく分析した。よく保存されたメロディーから「赤いサラファン」と判明したので五種類の歌詞を手掛りにソノグラムと音韻の対応を探った。 これからの発見は次の様にまとめることができる。 (1)エジソン録音機の性能及びカンニストとドンネル資料のワックス管の回転速度。 (2)狭帯域ソノグラムから予想通りのメロディーが検出できる。 (3)雑音がひどくても(音声帯域に雑音がかぶさっている)そのままで聴取する方が、フィルターで処理した音声を聴取するより音韻判別によろしい。 (4)パラタリゼーションがソノグラム上明瞭に出現し、他の資料での分析の手掛りとなる。 両者の資料に含まれるネネツ語を分析する前作業として、下村がヘルシンキで収集した比較的新しいサンプル(1970年録音)を詳しく分析した。これからの発見は、従来からの論争に興味あるデータを提供すると思われる。次の様に要約できよう。 (1)ネネツ語には鼻音化声門音が存在し、ソノグラム上それを明瞭に指摘できる。 (2)声門音は一つのみ出現するのではなく、前方に一つ後方に一つの〓^1M〓^2という構造をもっている。Mはモーラである。通常〓^1は鼻腟か口腟に解放される。Mは異常に長い。 (3)〓^1M〓^2は音節であった可能性がある。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 下村五三夫: (小樽商科大学)人文研究. 76. 43-74 (1988)
-
[Publications] 下村五三夫: "「音声の研究」中、ディジタルソノグラフによるネネツ語声門化音の分析" 日本音声学会, 225-250 (1988)