1989 Fiscal Year Annual Research Report
マル=ラシ=アツィ諸語とビルマ語の比較研究のための基礎資料の作成
Project/Area Number |
62510268
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies. |
Principal Investigator |
藪 司郎 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (30014509)
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Keywords | ビルマ語系諸語比較研究 / ビルマ語系祖語 / マル=ラシ=アツィ諸語 / ビルマ語系言語(Burmish) / 口口=ビルマ語群 / チベット=ビルマ語派 / 同源形式 / 基礎語彙 |
Research Abstract |
1.現地調査で得たマル=ラシ=アツィ(MaruーLashiーAtsi)諸語およびビルマ語諸方言の言語資料を『基礎語彙調査表(第三次)』(東京大学言語学研究室、1953)の調査項目(必要に応じて補正)に従ってカ-ドに整理分類したものを電算機に入力した。 (言語資料の整理の結果得られた語彙・用例の集積はいずれ資料集としてまとめる。) 2.歴史的に言語接触の密であったビルマ語とモン語(モン=クメ-ル系言語)のあいだの借用関係について調査した。ビルマの語の文化語彙のうちいくらかがモン語からの借用であるらしことを確認できたほか、モン語の現代口語においてビルマ語からの借用形式が少なくないこともわかった。これによってビルマ語系諸言語の同源形式を認定する際借用による似かよりを同源による似かよりから峻別することができるようになった。 3.昨年度の科研(国際学術研究)のインドにおける言語調査(研究代表者東外大AA研奈良毅教授)によって得られた印緬国境地域のミゾ(Mizo,ルシャイLushai)語やメイテイ(Meitei,マニプ-ルManipuri)語の言語資料を活用して、これらの言語とビルマ語系言語とのあいだにみられる同源形式をいくつか確認できた。身体名称や数詞に一致を示すものが多いことがわかった。 4マル=ラシ=アツィ諸語の語彙のなかでビルマ語との一致を示さないものについて、西田龍雄、Matisoff、孫宏開その他による公刊されている口口語系の言語資料にあたって、口口語系との同源形式を求めるべく考察した。 5.ビルマ語系祖語(ProtoーBurmish)の再構成を試みたが、完全には成功しなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 藪司郎: "サック語、センマイ語、タマン語、チャイレル語、チャウンダ-語、チャック語。" 『言語学大辞典』第2巻世界言語編(中)全6巻三省堂. (1989)
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[Publications] 藪司郎: "パオウ語、ピュ-語、ビルマ語(一部)、マル語、ラシ語." 『言語学大辞典』第3巻世界言語編(下)全6巻三省堂.
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[Publications] 藪司郎: "ビルマのアチャン語" 『アジアの諸言語と一般言語学』崎山理・佐藤昭裕(編)(西田龍雄教授還暦記念論文集)三省堂.
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[Publications] 藪司郎: "ビルマ語のことば遊び" 江口一久(編)『ことば遊びの民族誌』大修館書店. 203-218 (1990)
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[Publications] 藪司郎: "ビルマ語と日本語" 宮地裕(編)『講座日本語と日本語教育』(全16巻)第12巻『言語学要説(下)』(近藤達夫・編)明治書院.