Research Abstract |
1.本年度は, 地方公共団体の外郭団体・地方公社の実態的分析を重点とし(1)自治省等の調査報告書等の資料文献収集, (2)天竜浜名湖鉄道等いくつかの地方公社における現地調査, (3)東京都, 神戸市など, 外郭団体に関する総合的調整機関を設置している地方公共団体の現状調査, (4)比較的最近設立された地方公社を中心に全国100社に対して, 郵送によりアンケート調査および資料の送付依頼などを行ってきた. 2.近年における地方行革の進展のなかで, 外郭団体・地方公社は整理・統廃合されるものもあれば, 他方において, その積極的活用が試みられる場合もある. 例えば, 地場産業振興・高度技術振興を目的とする地方公社, 地方ローカル線を経営する第三セクター型地方公社, 文化・スポーツ振興・公共施設管理型地方公社などが積極的活用例である. これらの地方公社は, 地域における行政ニーズの多様化・高度化に対応しつつ, いわゆる民間活力を行政に取り込む手法の制度化という意味をもっている. 3.法理論的問題としては, 外郭団体・地方公社に対する民主的統制のあり方を中心に検討を進めてきた. 議会による統制手段としては, 関係予算の審議, 百条調査権などがあるが, 一般的間接的なものでしかない. 執行機関の長による監督は, 調査権, 報告徴収権, 検査権などの制度上のものにとどまらず, 人事面, 政策面などにおいて, 広範かつ強力なものである. このことは, 地方公社を地方公共団体の下請け〓〓化する要因でもあるが, 近年においては, 地方公社の自主的運営がより確保されてきているように思われる. 4.次年度研究計画としては, 本年度の実態調査をふまえて, 法制度的法理論的問題について, あらゆる外郭団体・地方公社に共通する論点と個別的論点を区別しつつ, その双方について取りまとめを行なうことを課題とする.
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