Research Abstract |
1.イギリスの不動産譲渡の危険負担と保健制度については, すでに, 論文を公表ずみなので, 今年度は, それとの対比において, 米国の状況について研究を行なった. 米国では, この問題について数多くの判例が存在しており, それらを整理した結果, 大多数の州の判例数が, イギリスの判例法と違って, 『法定信託』の法理により, 売主の入っていた火災保険に対して, 危険を負担する買主による, その保険金の支払いの請求を認めるという解決法を採用してきていることが明らかになった. また, 危険移転時期についても, イギリスの買主危険負担主義を修正し, 権限または占有移転時に危険が移転するという判例法をとる州が増加し, 1935年にUniform Vendor and Purchaser Risk Actが制定されるに至った過程の研究整理を行なった. さらに, 米国各州で採用されている不動産譲渡の標準契約書の調査も行なった. 以上, 米国では, イギリスのような二重保険加入の慣行なしに, 州制定法と, 判例法上の『法定信託』の法理により, 妥当な解決がなされていることが明らかになったので, 近いうちに, 「アメリカにおける不動産売買の危険負担と保険制度の関連」という表題で論文を発表する. 2.動産売買については, アメリカ統一商法典制定後の各州の判例を調査し, とくに, コンテナによる運送革命が, 従来の, 危険負担と付保制度, 運送人および運送取扱人の責任, などに対しておよぼした影響を中心にして研究を進めた. この問題については, 日本の, コンテナ運送, および, それに伴う運送保険の実務の実態調査も行なった. ただ, コンテナによる国際複合運送についての米国の現状についての完全なまとめをする時間的余裕がなかったので, 1の論文公表後, ひきつづき, 複合運送人の責任と, それに伴う付保制度をさらに整理し, 論文にまとめる.
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