1987 Fiscal Year Annual Research Report
現代の長期世界不況と日本資本主義-資本主義の基礎理論との関連において-
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62530002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 誠 東京大学, 経済学部, 教授 (10012121)
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Keywords | 長期世界不況 / 経済危機 / 戦後世界経済 / 資本の過剰蓄積 / 利潤の圧縮 / インフレーション / 石油危機 / 情報革命 / ケインズ主義 / 新保守主義 / 蓄積の社会的構造 / フォーディズム / 調整学派 |
Research Abstract |
本研究は, 1973年来以降の長期世界不況の展開とそのなかでの日本資本主義の経済過程の動態を, 資本主義経済の基礎理論との関連において分析し, 最終的にはその成果を英文でとりまとめようとするものである. 本年度は, その第1年次にあたり, 長期世界不況の発生の必然性, 展開の実態, ならびに歴史的意義を順次検討し, その成果を5章にわけ, 英文タイプ(ダブルスペース)で195ページの草稿をとりまとめた. この研究の進展には, 7-8月オクスフォード大学に招かれて, A.グリン氏と交流しながら, 同大学経済統計研究所で集積されている資料, 統計解析を参着することができたのが, たいへん役立った. 執筆した英文の草稿は, 計画にしたがい, ロンドンのP.Bullock氏に送り文章上の校閲をすすめてもらっている. 上記A.グリン氏, ケンブリッジ大学のB.ローソン氏にも草稿を送って, 内容上の改善に努めてきた. 長期世界不況をつうずる資本主義経済の再編過程については, 情報投術による投資単位の軽小化, 労働組合の弱体化, 国家の経済的役割の後退によって, 資本主義経済の基本的作用がふたたび人びとの経済生活により大きな支配力をおよぼすようになってきている, というのが本年度の研究をつうじて得られたいちおうの中間的結論である. これについては, さきのグリン氏も深い興味を示してくれている. 『世界』1988年3月号に発表した拙稿には, この見解が暫定的にとりまとめられている. なお考察基準としての基礎理論との関連については, 置塩信雄氏との共著『経済理論と現代資本主義』(岩波書店, 1987年12月)の公刊にかけての共同作業が, 間接的に大いに役立ったし, そこに本研究の成果も一部組み込まれている. 昭和63年度にはひき続き日本経済に重点を移し, 購入した各ソフトを活用して全体をとりまとめたい.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 伊藤 誠: 書斎の窓. NO.365. 23-28 (1987)
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[Publications] 伊藤 誠: 世界. 512. 64-76 (1988)
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[Publications] Makoto Itoh: "The World Economic Crisis and Japanese Capitalism" London: Macmillan, 250 (1989)