1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62530022
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 定幸 一橋大学, 経済研究所, 教授 (80017649)
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Keywords | 外国籍企業 / 在外生産 / 自動車産 / 北アメリカ |
Research Abstract |
1987年末現在, 日本の9つの自動車メーカーがアメリカおよびカナダにおいて, 独自に, ないしはアメリカ資本との合弁で, 自動車生産工場を建築中である. ホンダ, 日産, トヨタ(GMとの合弁)およびマツダはすでに生産を開始しているが, これら全工場が完成しフル稼動にうつる1990年代初には, これら日本メーカーの在北米生産高は220〜230万台に達するものとみられている. このような日本メーカーの在北米生産の急増は, 2つの大きなインパクトを北米と日本の自動車産業に与えるだろう. まず第Iに, 220〜230万台もの生産能力の追加は, さらでだに過剰生産能力に悩むアメリカ自動車産業にとって, 未曾有の過当競争状態の到来を予言するものである. すでに1971年以来在米現地生産に携っていた西ドイツのフオルクスワーゲンが87年末をもって生産停止・撤退を余技なくされたばかりか, アメリカ第4位メーカーのAMC(実際フランスのルノーの子会社だった)もクライスラーに吸収されその存在を止めてしまった. これらをみても, 進出した日本メーカーがすべて生き残れるか, 甚だ疑わしいものがある. 第2に, 在米現地生産の急増はその対米輸出の減少をもたらざるをえず, 対米輸出の減少はまた日本自動車産業の再編成, 9つものメーカーの整理統合を促進するに違いない. その兆はすでに1987年中にも見受けられたといってよいだろう. 1987年8〜9月に, 研究者はアメリカ, カナダを訪れ, 現地における事情についての理解を深めることができた. 1988年にも重ねてアメリカ, カナダ各地の日系自動車生産工場を訪れ, 進出企業が当面している諸問題について聞き取り調査を行う予定である. 同時に, 世界自動車産業の全体的動向についてもとくに各国主要メーカー間の協力体制づくりを中心に調査をつづけてゆく.
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Research Products
(1 results)