1987 Fiscal Year Annual Research Report
ビジネスサーベイデータに基づく景気予測-マイクロデータに基づく分析-
Project/Area Number |
62530030
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 良也 九州大学, 経済学部, 教授 (90024900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 親良 九州大学, 経済学部, 助教授 (70136589)
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Keywords | 消費動向調査 / 判断項目 / データベース / 消費者意識指数 / 消費者態度指数 / マイクロデータ / 遷移行列 / 景気予測 |
Research Abstract |
本研究では消費動向調査に基づく分析を主として行った. そのため, 消費動向調査に含まれる判断項目(20項目)について, 調査方法が改訂された昭和57年から昭和62年までを全国, 職業別, 地域別にパーソナル・コンピュータで容易に利用可能なようにデータ・ベース化した. これを基に, 各々20項目についての消費者意識指数を作成し, 相互にどのような統計的関係が見られるかを分析した. この結果, 価格変動に関する判断項目で分散が大であること, 特定の項目で相関度が高いこと, また一年前と今後一年間の予想について相関度が極めて高いことが明らかとなった. このことは消費動向, 景気動向を把握する為の集計された一つの尺度を作成する上で重要である. 20項目全てを総合化している現行の消費者態度指数の作成方法に改善の余地があるからである. 本研究の目的はマクロ的なデータに基づく分析にあるのではなくマイクロデータを利用した景気変動, 消費動向の分析にあるため, 消費動向調査のより詳細な利用を試みた. まず前期と今期のマイクロデータを基にマッチングを行い各期毎の遷移行列を推定した. これはすべての判断項目について昭和57年から61年まで行った. -実際には毎期約5千人程度のマッチングを行っている. -集計データとしてはせいぜい周辺分布が与えられるにすぎないが, ここではその確率構造が明示された為に景気変動, 消費動向予測の為の情報が大幅に増加した. 景気後退期に第一回答区分の人々が来期もそこに留まる確率は極めて小さいからである. このように遷移行列はそれ自体として景気, 諸費動向予測のための情報を与えるが, ここでは(期間が短いことを考慮して)暫定的に各遷移確率の平均からの乖離を計ることにより, 質的データの景気分析への利用を試みた. ただ, 推計した期間が若干短いこともあり今後更に推計作業を続けることが必要であると考えている.
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