1988 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合併運動(1882-1904)の研究-現代化の基礎過程-
Project/Area Number |
62530053
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
谷口 明丈 大阪経済大学, 経営学部, 助教授 (20103228)
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Keywords | 合弁運動 / 合同 / 集中 / 現代化 / 巨大企業 / 寡占 / 所有 / 経営者 |
Research Abstract |
62年度に析出された類型にしたがって、上位43社の合同企業の分析をおこなうため、収集した情報を整理して総括的な表を作成した。その表にもとづいて、合同に導いた諸要因、企業の所有構造、経営構造の変化のプロセスを検討した。さらに、個々のケースについて金融機関との関係などいくつかの項目について明らかにした。 その結果、つぎのような暫定的な結論がえられた。 合同への道筋には類型間に大きな差異があり、それはアメリカ産業史のダイナミズムを表現するものであった。また、類型間に一定の差異が認められる項目もいくつか存在した。しかし、合同のもたらしたもの、その発展の帰結については類型間に大きな差異はなく、同一のものであった。合同によって巨大な資本・経営資源が1企業の下に集中され、個人の財産としての企業から社会的な存在としての法人企業へと変化した。所有経営者は消滅し専門経営者が登場し、ミドルマネジメント、トップマネジメントが組織された。企業戦略は多角化(フルライン化)による成長戦略の局面へとはいっていった。産業構造は独占(ガリバー型寡占)から(本格的)寡占へと展開することになる。以上の過程は明らかに、19世紀的な企業・産業構造とは異なる新たな企業・産業構造を生み出す過程であった。前者を近代的と呼ぶとすれば、後者はそれと区別して現代的て呼ぶことにする。合同運動は、近代的な企業・産業構造が現代的なものへと変革される過程できわめて重要な役割をはたした。この過程は19世紀後半から徐々に進行しつつあった過程ではあるが、合同運動はこの過程を一挙に飛躍的に促進した。それは単に一部の産業で起こったことではなく、ほとんどすべての産業で起こった広範な歴史的事象であった。
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