1988 Fiscal Year Annual Research Report
第2次大戦後の化学産業の発展に関する国際経営史研究
Project/Area Number |
62530067
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
伊藤 裕人 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (80134328)
|
Keywords | 化学産業 / 石油産業 / 石油化学工業 / アメリカのエネルギー政策 / 石油政策 / アメリカ対外政策 / 保護主義 |
Research Abstract |
本年度は、これまでの研究成果の一部を学会報告(「アメリカ石油輸入規制論争--アメリカ石油化学工業の国際競争力との関わりで--」経営史学会第24回大会〈東北大学〉)として発表しました。これを基礎に、より包括的な形での論文の作成に向けて研究を進めています。 本年度の第一の課題である「アメリカ多国籍企業の西ヨーロッパ石油化学工業への進出過程の分析」と、それを基礎にした「アメリカと西ヨーロッパの石油化学工業・化学産業の比較分析」については、石油化学工業の基軸をなすエチレン生産を中心に、その実態分析を進めてきたが、「新たに得られた知見」として次のことを指摘したい。すなわち、石油化学工業それ自体が、石油企業の前方統合と化学企業の後方統合という相互進出によって特徴づけられるのであるが、その中核としてのエチレン生産における相互進出の実態は、国別に石油企業と化学企業の競争構造の差異があることを示しており、ここに比較分析の手がかりを見出すことが出来るのである。さらに、「新たに得られた知見」として、アメリカ化学産業の保護主義的性格が、第1次大戦後の生成期だけでなく、第2次大戦後の国際的に展開した時期にも根強いものがあったことを確認できたことを付け加えたい。 本年度の資料収集の最重点課題であった「アメリカ政策史料の入手」については、所在についての確認作業の後に、図書館を通じて入手依頼をしているものの、予想以上に手間取り、補助金執行の計画変更を余儀無くされました。来年度には、重要史料を利用できる予定です。 資料収集、「産業・企業・地域」に関するパソコン等を利用しての「データベース」化などの基礎的作業は、予定より遅れているものの、着実に進展しています。今後は、これらの基礎的作業と並行して、包括的な研究成果の発表に一層の重点をおいて研究を進める計画です。
|