1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62530071
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Research Institution | KYOTO University |
Principal Investigator |
近藤 文男 京都大学, 経済学部, 教授 (40066676)
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Keywords | 大量生産 / マス・マーケティング / グローバル・マーケティング / イノベーション / FMS / CIM / 消費者ニーズの多様化 |
Research Abstract |
戦後我国のマーケティングは、アメリカから導入されたものであるが高度経済成長過程から低成長過程の中で様々な改良が加えられ、精密化され、我国独自のものに形成されていった。それは技術革新にささえられて一方で大量生産体制を実現しつつ、他方では多様なニーズを実現するという特徴を有する。本研究は我国の代表的産業である家電産業と自動車産業、化粧品産業を取り上げ、それぞれの産業における個別企業の資料と直接企業訪問による聞き取り調査によって、その実態を踏まえて日本におけるマーケティングの特徴を理論的に解明したものである。 高度成長期のマーケティングは、マス・マーケティングを特徴としており、互換性部品とベルト・コンベアー・システムによって、大量生産された商品を国内市場のみならず、海外市場に販売することによってマス・マーケティング体制を実現した。この状況は家電産業を始め、自動車産業において代表的に見られる。 低成長期になり、消費者ニーズの多様化と個性化の進行に加えて、需要が停滞し、高度成長期に実現してきたマス・プロダクションとマス・マーケティング体制が困難となった。これらの問題の解決のために重要な役割を果たしたのは、生産過程における技術革新の典型であるFMS(Flexible Manufacturing System)、CIM(Computer Integrated Manufacturing)がある。このような革新的な生産技術は、顧客ニーズの個性化、即時的欲求充足化等を可能にするとともに、いわゆるニッチマーケティングの登場を可能にした。もう一つは海外市場を開拓することにより、文化、生活慣習の相違を示す多様な市場と大量市場を保障し、グローバル・マーケティングの展開を大きく開いた。今回は化粧品産業のマーケティングまでに十分な研究ができなかったが、今後収集した資料をもとに一層深く研究すると同時に、日本企業のグローバル・マーケティングに関する研究を一層深めたい。
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Research Products
(2 results)