数理情報科学における函数解析的研究

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62540135
• Research Institution: Science University of Tokyo
• Principal Investigator: 梅垣 壽春 東京理科大学, 理学部, 教授 (00015992)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 明石 重男 相模工業大学, 工学部, 講師 (30202518) ; 渡邉 昇 東京理科大学, 理工学部, 助手 (70191781) ; 塚田 真 東京理科大学, 理工学部, 講師 (10120198) ; 大矢 雅則 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90112896) ; 上坂 吉則 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40019782)
• Keywords: 函数解析学 / 信号解析 / エントロビー / 接合積 / 相対相互エントロピー / 標本空間 / 光通信 / 遺伝子情報論 / 量子フラクタル次元 / 条件付期待値 / マルチンゲール / シミュレーティッド・アニーリング / ニューラル・ネット

Research Abstract

この一年間の研究成果は、前年度の成果の上に立って更なる成果を目指した。具体的組織構成として、全体を三つの部分に分け、まず情報理論において、その基幹の一つである情報源の数学的構造を究明し、その構造によって生成される信号を函数解析の手法により函数表示し、それをFourier変換して精密な展開原理を得たが、展開の基函数である標本函数が、信号の生成する代数系の中で単位の分解という際だった特徴をもつことを突きとめた。これによって調和解析が論じられ、作用素論的に信号解析を展開する道が開かれた。更に、ランダムな信号系と接合積の理論を、有限型Von Neumann代数と離散的パラメータとの接合積に発展し、条件付期待値の存在を証明した。また、一方ではエントロピー理論が「情報」の数理的把握の根幹であることを論じ、情報エントロピーを種々な面から解析した。更に、作用素のスペクトル密度をε-エントロピーを用いて解析した。次に、量子系のエントロピー理論の研究を非可逆過程の解析に応用し、更に量子制御通信過程における誤り確率の数学的な一般式を導き、光パルス変調方式の効率を数理的に調べた。また、遺伝子配列の整列化、相互エントロピーを用いた生物の類縁度の定式化により系統樹を作成し、遺伝子の情報論的取扱いの有用性を示した。更に、一般量子系の状態に対して、幾つかのフラクタル次元、及び量子ε-エントロピーを定式化し、それの具体的な力学系への応用を議論した。最後に、ニューラル・ネット及びシミュレーティッド・アニーリングについて我々は数学的に厳密に安定化を行った。特に、ニューラル・ネットを用いた最適値問題の解法における解の安定性を保障する幾つかの結果を得た。更に、種々の問題にこの方法を応用し、実際に計算機による実験を行ったが、初期値の問題については今後に課題を残した。

Research Products

• [Publications] 梅垣壽春: SUT Bulletin. 8月号. 29-33 (1988)
• [Publications] 梅垣壽春: 実解析セミナー1988講演録. 84-96 (1988)
• [Publications] 梅垣壽春: The 1988 Symposium on Information Theory and its Application. 11. 53-56 (1988)
• [Publications] 梅垣壽春: Proceedings of the 11th Symposium on Applied Functional Analysis.
• [Publications] 上板吉則: 電子情報通信学会パターン理解と学習研究会技術報告. 6. 7-14 (1988)
• [Publications] 上板吉則: 電子通信学会誌. 71. 1241-1247 (1988)
• [Publications] 上板吉則・塚田真: Proceedings of the 11th Symposium on Applied Functional Analysis.
• [Publications] 大矢雅則: 電子情報通信学会誌. 71. 295-297 (1988)
• [Publications] 大矢雅則: 電子情報通信学会論文誌. J71-B. 533-539 (1988)
• [Publications] 大矢雅則: Springer Lecture Note in Math.1299. 384-390 (1988)
• [Publications] 大矢雅則: 数理科学. 301. 58-61 (1988)
• [Publications] 大矢雅則: 数理科学. 305. 78-83 (1988)
• [Publications] 大矢雅則: 素粒子論研究. 78. (1988)
• [Publications] 大矢雅則: The 1988 Symposium on Information Theory and its Application. 195-200 (1988)
• [Publications] 大矢雅則: Proceedings of the 11st Symposium of Applied Functional Analysis.
• [Publications] 大矢雅則: Reports on Mathematical Physics.
• [Publications] 大矢雅則、渡辺昇: The 1988 Symposium on Information Theory and its Application. 549-554 (1988)
• [Publications] 渡辺昇: Proceeding of the on Applied Functional Analysis.
• [Publications] 明石重男: 実解析セミナー1988講演録. 79-83 (1988)
• [Publications] 明石重男: The 1988 Symposium on Information Theory and its Application. 51-52 (1988)
• [Publications] 明石重男: Proceeding of the 11th Symposium on Applie Functional Analysis.
• [Publications] 上坂吉則: "神経回路のエネルギー関数、「入門ニューラルネットワークス」" トリケップス, 225 (1988)
• [Publications] 上坂吉則: "連想記憶、「入門ニューラルネットワークス」" トリケップス, 225 (1988)
• [Publications] 大矢雅則: "量子通信理論の数学的基礎「光通信理論とその応用」" 森北出版, 370 (1988)