Research Abstract |
現在, 小惑星のなかで軌道がよく分っており, 登録番号のついているものが3800ほどあるが, その3800の小惑星の軌道要素を計算機のファイルに入れ, その固有の軌道要素を求める計算を行った. そして, 従来から知られている小惑星の族について, その成員を特定した. これらの族に属する小惑星の明るさの分布を求め, 同じような軌道半径域にある小惑星の明るさの分布との比較を行った. この比較から, 族に属するものでは明るいものが少ないこと, これに反し, 暗いものの増加率は大きいことが明らかになってきた. これらは, 族が衝突, 分裂によってできたものであることを裏付けする事実となろう. 一方族のなかでも, 比較的に成員の数の少いものは, 族に属さないものの分布と大きくは異っていない. これらは, まわりに小惑星がいないために, 位相空間のなかで孤立してみえるので族と認定されたもので, その成因は他のものと異なるかもしれない. また, 族の多くは, その一方をいわゆるKirkwoodの空隙によって培されている. Kirkwoodの空隙をみると, その近傍には暗い小惑星の多いことも, この研究の過程で得られた知見である. 更に, 族の多くはKirkwoodの空隙, あるいはSecular Resonanceとよばれている場所の近くによるので, 接觸軌道要素から平均軌道要素, あるいは固有軌道要素を求めるための解析式を導くことが難しいのであるが, これは努力中である. 小惑星の数を増やしたことにより, 他の族を見出す可能性もふえてきたがこれは今後の課題とする. しかし, このための準備のデータ, 図などはそろえてあり, 適当なクライテリオンさえ定めれば, この研究に入りこめると思っている.
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