Research Abstract |
本年度は次の2つの事を行った. まず第1は, XYZ座標でアインシュタイン方程式を書くが, 各物理量は球函数Yem(θ, ψ)で展開して, その係数Aem(r, t)の時間変化を追うというものである. これは, 言わば, メッシュとしては, (γ, θ, ψ)を用いるものである. 純粋に重力波のwave packetのみを入れた場合, 重力波の振幅が低いと解析解は, 数%の精度で(100×41×16)というメッシュで実現される. 次にこれに圧力ゼロの物質を入れる事を考えた. 物質は, それぞれが拡がりhを持った超粒子で表わす事にし, 一般相対論的な力学において, いわゆるSmootherd Particle法の拡張が可能なことを示した. 次に, ほとんど, 球対称に近い初期の物質分布に対して, メトリックの初期データを, 非線型楕円型方程式を解く事によって決定した. 次に, この初期データの時間発展を解く事を試みているが, 粒子性にもとずく, noiseをうまく消す粘性項の発見が課題である. さて, super computerの発展は目ざましく, 現在京大では, 200Mbyteのメモリーを使う事が可能になっている. そうすると, 一般相対論でも, 80×80×80程度の(x, y, z)のメッシュを取る事が出来る. 宇宙論への応用を考えても(x, y, z)メッシュが好ましく, 又(x, y, z)では座標の特異性がないので, スーパーコンピューターの能力の向上を前提にするなら, こちらの方が将来性がある. 実際(80)^3の(x, y, z)座標での一般相対論の初期値問題を解くcodeを数式処理言語REDUCEを使って作った. そのコードをまず, 純粋に重力波のみのwave packetの時間発展に適用した. (γ, θ, ψ)座標のような中心, 軸上での問題は全くなく, 境界での境界条件についても特に困難は生じなかった. 現在このメッシュで, どの程度の精度まで行けるか日夜計算している.
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