1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540198
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
池田 秋津 東京工業大学, 理学部・物理, 助手 (40016126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 弘 東京工業大学, 理学部・物理, 教授 (90108192)
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Keywords | 原子核回転運動 / 粒子-回転子結合模型 / シグネチャー依存性 / シグネチャー逆転 / 非軸対称変形 / 回転整列 |
Research Abstract |
当研究課題はHo, Tm, Lu当奇陽子核に見られるジグネチャー逆転現象の解明に努力を注ごうとするものである. 今年°の収穫は三軸非対称変形(〓変形と呼ばれ, 0°≦〓≦60°の値をとる)を持つ原子核の最短軸廻り回転を過程すれば理解できるという. 世に喧伝された考えを詳細に検討しほぼ最終的な評価を与え得た事である. この着想は回転軸を固定する半古典的模型(クランキング模型)に基づいているため回転軸の量子論的揺動を無視している. 我々は粒子-3軸非対称回転子模型を用いて回転を量子論的に扱って数値計算を行いこの考えで現実の原子核のシグネチャー逆転を理解し得るかどうか検討した. 得られた結果は:1.クランキング模型の予言のように〓変形した原子核が最短軸回り回転をすると広範なスピン値に対してシグネチャー逆転は起り得る 2.しかし大きな〓値(〓≧20°)が必要である 3.シグネチャー逆転はフェルミエネルギーλが或狭い領域にある時だけ起る 即ちλが下から2番目の一粒子軌道準位の近傍にある事が必要 という事である. 問題の原子核のλはそれよりずっと高い所にあるからこの着想は乗り越え難い困難を有すると結論せざるを得ない. 否定的ではあるが最も有力とされた着想を定量的に評価し得た事は今後の研究の方向ずけに大いに役立つ. この進展により私は昨年秋以来, 回転整列した陽子と中性子間の相互作用はシグネチャー依存性を持ち得る事に着目しその研究に入っている. 原子核殻膜型の現実的な二体力を用いたBCS理論に特有の幻の状態を正しく排除して計算する. (h_<11/2>i_<13/2>→h_<11/2>i_<13/2>)という弾性散乱に対応する過程のみによっては理解できないことを既に明らかにした. 今は(h_<m1/2>i_<13/2>→h_<9/2>i_<13/2>)という非弾性散乱に対応する過程の重要性に注目し1000余次元行列の対角化を含む研究に着手した所である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A. Ikeda: Nuclear Physics. A480. 85-103 (1988)
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[Publications] 池田秋津: 原子核研究. 32. 5-9 (1987)
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[Publications] 池田秋津: 素粒子論研究.
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[Publications] 池田秋津: 原子核研究.
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[Publications] A. Ikeda: JAERI-M Report(日本原子力研究所刊行).