1988 Fiscal Year Annual Research Report
トパーズ測定器を用いたe^+e^-衝突による新粒子探索
Project/Area Number |
62540201
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 史郎 名古屋大学, 理学部, 助教授 (50089851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 彰也 高エネルギー物理学研究所, 助手 (50174206)
梶川 良一 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022537)
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Keywords | e^+e^-衝突 / トリスタン / トパーズ測定器 / 電弱理論 / 標準モデル / 超対称性粒子探索 |
Research Abstract |
トパーズ測定器は、昭和62年度に引き続き63年度も順調に稼働し、重心系エネルギー56〜60.8GeVのデータ収集ランを行った。また、生データ処理もパス1(KEK),パス2(名古屋大学)とも能率良く実施され、ラン終了後1ヶ月以内には、すべて最新の較正係数を用いた採集版のデータ集約テープ(DST)が得られ、物理解析に供せられている。 本年度の物理解析は、μ及びτの対生成における前後方非対称度の測定による電弱相互作用の検証、対生成される超対称性(SUSY)粒子の探索を中心に行った。 昨年度のランで収集されたμ、τ対生成のデータ(52及び55GeVにおける)が詳しく解析され、生成断面積と前後方荷電非対称度が求められた。これらは、いずれもワインバーグサラム標準モデルと矛盾なく一致し、今のところ実験からは第二のZボゾンは必要とされていない。 超対称性粒子のうち、まず運動学的に単純な二体対生成するものの探索が行われた。フォティーノが最も軽い超対称性粒子(LSP)と仮定し、エネルギー・運動量をバランスしない事象を選び出し、QED過程通常のハドロン生成反応、二光子衝突反応などからのバックグラウンドの推定と比較した結果、それらの推定と矛盾なく、スケーラーμ、スケーラーτ、スケーラークォークの質量下限として新たに各々24.5GeV、21.7GeV、26.3GeVを得た。また、フォティーノの質量をゼロと仮定すれば、チャージーノの質量下限は25.5GeVとなる。 それらの解析と同時に、LEP/SLCが稼働を開始してもトパーズ測定器が競争力を保つために、超対称性粒子探索の中でも特にフォティーノ探索に重要な、測定器の密封化の準備研究と作業(前後方およびリングカロリーメーター)が進んだ。
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Research Products
(2 results)