Research Abstract |
当研究は, 第四世代クォーク・レプトンに焦点をあて, 低エネルギー領域での現象をとり扱った. 1987年春, ARGVSグループによって報告されたBd中間子の粒子混合の実験値は, 三世代モデルの予想よりもかなり大きく, きわめて興味深い発見であった. 当研究では, この現象を第四世代クォークの証拠であるという立場から, B中間子物理学に四世代クォークモデルを適用し, 解析を行ない次のような結果を得た. 1.ARGVSによる混合値は, 三世代モデルの枠内では, トップクォークの質量(m_t)を50GeVより大きくとる必要がある事を示しているが, 四世代モデルではm_tが50GeV以下でも許容している. 2.B^O_S-B^^-^O_S混合の実験値は, 決定されていないが, この測定値により三世代モデルが生き残るかどうかm_tに無関係に決定される. γ(5s)での実験が重要となるが, 当研究ではこの実験の理論的予測を行なった. 3.四世代クォークモデルでは, 小林・益川行列要素の三つの位相間に, Bd中間子混合値とK中間子のCPの破れの値から, 強い制限が課せられる. この制限は, B中間子の崩壊におけるCPの破れに影響し, 三世代モデルとはかなり異なるCPの破れの大きさを予言する. 尚, 当研究では, 四世代モデルだけではなく, 世代の起源の一つの可能性を示すクォーク・レプトンの複合モデルの立場で, Bd中間子混合の解析も行ない, 複合性を特徴づけるスケールの新しい情報を得た. 以上の研究成果以外に, 四世代小林・益川行列のエネルギー依存性を, くりこみ群を用いて調べた. その結果, フリッチ行列の場合, 第四世代クォークの行列要素は, GVTエネルギーから低エネルギーの間で大きく変化する事が判明した. また, 第四世代と第三世代の中性微子間の中性カレントの大きさを研究し, 将来Z^O中間子の崩壊実験で, その中性カレントが発見される可能性を示した.
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