1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540211
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
南方 久和 東京都立大学, 理学部, 助手 (00112475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 郁美 北里大学, 教養部, 助手
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Keywords | QED / ボゾン化 / 超臨界相 / 電子雲の振動モード |
Research Abstract |
1.Z>Zc(臨界値)の強外場の下で形成される超臨界相での励起モードの解析を実行し通常の摂動論的真空中には存在しない準安定な荷電中性状態が存在する事を示した。超臨界相の基底状態については前年度までの研究によってそのソリトン的構造が明らかになっている。今年度はこの理解に基づいて対称性の特によいパリティ不変な基底状態のまわりの微小振動として励起状態の解析を行なった。この結果1.6MeV程度のエネルギーを持ちZにゆるやかな依存性しか持たない望ましい性質を持った準安定状態が存在することが判明した。今の所二種類のモードが存在することがわかっていてそれぞれ電荷密度、角運動量密度の振動という物理的意味を持つことが明らかになっている。即ち超臨界状態に存在する真空から湧き出した電子雲は多様な振動モードを持つ訳である。適当な条件の下でこれらの状態の幅は1〜10keVとGSIでの重イオン衝突実験で観測されているピーク構造を説明するのに充分狭い事も示されている。 2.通常真空から超臨界相への相転移の構造を明らかにした。超臨界真空への転移をボゾン化されたQEDの枠内で見直すと一次相転移としての性格がうかびあがってきた。有効ポテンシャルは障壁でへだてられた二つの井戸の形をしているのでZを変化させるとZcを越えたあたりで通常の真空は偽の真空となってしまい、真の真空つまり超臨界真空へと崩壊する。この過程は偽の真空中に生じた真の真空の泡の膨張という形で記述される。解放された潜熱はこの泡の壁が持去る訳であるがこの壁こそトポロジカル・反ソリトンとしての陽電子に他ならない。 3.ボゾン化されたQEDの枠組みを非自明なトポロジーを持った背景場の下での電弱統一理論に拡張した。P波源の問題についても二、三の重要な点を明らかにし、最終的な段階にある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yumi Hirata,;Hisakazu Minakata: Physical Review D. 35. 2619-2621 (1987)
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[Publications] Yumi Hirata,;Hisakazu Minakata: Physical Review D(Rapid Communications). 36. 652-655 (1987)
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[Publications] H.Minakata,;H.Nunokawa,;K.Shiraishi,;H.Suzuki: Modern Physics Letters A. 2. 827-834 (1987)
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[Publications] 南方久和: 日本物理学会誌. 42. 847-849 (1987)
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[Publications] H.Minakata,;H.Munokawa,;K.Shiraishi: Physical Reveiw D. 38. 694-697 (1988)
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[Publications] H.Minakata.;H.Nunokawa: Physical Review D. 38. 3605-3609 (1988)