1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540222
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 正一 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (80155936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城谷 一民 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (90110692)
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Keywords | 超伝導 / 一次元伝導体 / 遷移金属トリカルコゲナイド / TaSe_3 / マイスナー効果 / 臨界電流密度 / ロンドン方程式 / 超伝導量子干渉計 |
Research Abstract |
TaSe_3は結晶構造の特徴から考えて、一次元伝導性を示すと考えられ、超伝導状態にその特徴がどのように表れるかを調べるのが目的である。超伝導転移温度が約2.0Kであるので、^3Heクライオスタットを製作する必要がある。初年度の昭和62年度は、この製作が主たる計画であった。昭和63年度は0.5K以上でマイスナー効果の測定をすることが主たる実験である。b軸(チェイン軸)の方向に磁場をかけたときの反磁性磁化を超伝導量子干渉計で測定した。電気抵抗率の測定結果と併せて、次のことが判明した。 (1)3A/mm^2のごく僅かの電流密度で超伝導は完全に破壊される。 もしも、電流が試料内で一様に流れているとするならば、電流自身の作る磁場の大きさは試料の端で最大になる場所でさえも、0.047〔Oe〕である。一次元性を反映して、電流が試料内で局所的に大きく流れていることが判った。 (2)一定磁場(1.0,3.0 Oe)中での反磁性磁化の温度依存性は転移温度でほとんど何の異常も示さない。また、0.4Kでの反磁性磁化の値は、いくら大きくても、完全反磁性の1/200以下という極めて小さな値にしかならない。 (3)0.3Oeの弱磁場では、磁束のトラップによる磁化の異常が観測された。 (4)以上の結果は、TaSe_3が非常に弱い超伝導体であることを示す。これらの現象は次のように考えることができる。非常に細い半径aの針状試料において、磁場侵入長λがλ>>aの関係になれば、マイスナー効果は非常に小さくなる。また、半径aの針状試料が互いにジョセフソン結合していることで磁束のトラップは説明がつく。このような特殊な状況が試料内で起こっていると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shoichi,NAGATA: J.Phys.Soc.Jpn.56. 2225-2226 (1987)
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[Publications] Shoichi,NAGATA: Jpn.J.Appl.Phys.Series 1. 1. 153-154 (1988)
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[Publications] Shoichi,NAGATA: J.Phys.Chem.Solids. (1989)