1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540232
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
浜野 勝美 東京工業大学, 理学部, 教授 (10017189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 郁夫 東京工業大学, 理学部, 助手 (70126332)
江間 健司 東京工業大学, 理学部, 助手 (80108183)
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Keywords | ディスコメンシュレーション格子 / 整合・不整合相転移 / 塩化亜塩酸ルビジウム / セレン酸カリウム / 亜硝酸ナトリウム / 分域構造観察 |
Research Abstract |
1.Rb_2ZnCl_4及びK_2SeO_4の電場誘起整合・不整合相転移に伴う分極と誘電率の時間変化を, 補助金で購入したディジタルストレージスコープを用いて詳細に調べ, ディスコメンシュレーション(DC)格子は以下の過程で形成されると結論した. すなはち整合相の中に6枚のDCからなる核が発生し, 成長することによって等間隔に並んだ6枚のDCができる. 次々と発生するDCによって結晶は埋められていき, DC格子ができ上る. その後さらに発生してくるDCによって, DC密度は増大し, DC格子の格子間隔は狭くなって整合相への転移が完了する. 以上の相転移のモデルは, 1次の相転移を行う系の自由エネルギーに関する考察から, 理論的にも妥当なものであることを示すことができた. 2.RB_2CL_4やK_2ZnCl_4におけるDCの発生, 消滅は6枚1組で起こらねばならぬことが理論的に結論される. 我々はK_2ZnCl_4を不整合相から整合相へ転移させ, 分域構造の時間変化を腐触法と粉末法で調べ, 6枚のDC(分域壁)からなる転位の存在, 及びそのような転移間でDCの組替えが起って次第にDCの数が減少する過程を観察することができた. 3.NaNO_2の不整合相内の二状態間の緩和を, 光照射による温度ジャンプ法で調べ, 数100秒の時間で緩和することを見出した. また緩和は単純な指数関数的な緩和でなく, 平衡状態に近づけば近づくほど無限に長くなる(核発生の活性化エネルギーが無限に大きくなる)ようなものであり, 定性的には川崎の理論と一致することを確認した. 4.DC格子のスピノーダル分解については, 未だ実験的確証を得るに至っていない. 今後さらに理論的, 実験的検討を加える.
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[Publications] K. Hamano: J. Phys. Soc. Jpn.56. 3789-3792 (1987)
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[Publications] K. Ema: J. Phys. Soc. Jpn.57. (1988)
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[Publications] H. Sakata: J. Phys. Soc. Jpn.57. (1988)