1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540245
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川口 尚 九州大学, 教養部, 助教授 (70038488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 文重 九州大学, 教養部, 助教授 (80117126)
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Keywords | 超伝導 / 電子局在 / 薄膜 |
Research Abstract |
昨年度に、液体ヘリウム温度に保った基板に超高真空中で蒸着した非常に均一と思われる非晶質Biやpbの超薄膜の超伝導転移を測定し、次のような結果を得た。面抵抗R_□が約6KΩより大きい膜では超伝導転移の兆候が見られず、6KΩよりそれほど大きくないR_□の膜では常伝導金属薄膜の弱局在特有のlogT温度依存性を示す。約6KΩ以下になると超伝導ゆらぎ効果による電気抵抗の減少を示しはじめ、さらにR_□を小さくするとこれまでに報告されている非晶質超伝薄膜の転移特性が得られる。 今年度は、これらの結果が均一な2次元超薄膜に共通した振舞いで他の金属薄膜でも類似の結果が得られるかどうかを調べた。SnについてはSioをアンダーコーティングした上に低温蒸着すると、これまでの報告と異なり、pure Snの場合でも非晶質膜(Sn-Cu合金)のTcに近い値を示すことからかなり均一な膜になっているはずである。しかしR_□が12KΩの膜ですでに超伝導転移の兆候があらわれた。その結果はミネソタ大学や東大理学部のSn微粒子系のそれとは異なっておりTcのR_□依存性は非晶質Biほど強くなく微粒子系との中間の傾向を示す。これはSn超薄膜が十分均一になっていなかったためだと考え、Sn-Cu合金薄膜を作り測定したが著しい違いはみられなかった。Ga薄膜についてもSnと類似した結果になったがいずれも非晶質Biやpb薄膜と比べて電気導通がではじめる平均膜厚が厚くなっていることから、均一性に問題があると考えている。 したがって、これからはアンダーコーティングの方法を改善したり、これまでの実験結果をもとにしてできるだけ均一な超薄膜ができそうな物質を選ぶなどの工夫をして研究をおこなうことにしている。
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