1988 Fiscal Year Annual Research Report
半導体における非線形電気伝導のカオス現象に関する研究
Project/Area Number |
62540264
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
青木 和徳 神戸大学, 工学部, 助手 (80112077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 眞至 神戸大学, 工学部, 助教授 (50107348)
山本 恵一 神戸大学, 工学部, 教授 (80031087)
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Keywords | 非線形電気伝導 / 半導体 / GaAS / カオス / 電流フィラメント / 衝突電離 / 分岐 / 周期倍分岐 |
Research Abstract |
本研究の目的は半導体(高純度GaAs)において見い出される非線形電気伝導のカオス現象について、その物理的メカニズム及び統計力学的性質(分岐現象、フラクタル次元等)を明らかにすることであった。研究計画に沿って実験及びシミュレーションをおこない、概ね研究目的が達成された。 実験は高純度n-GaAsにオーミック電極を形成し4.2Kでおこなわれた。1.2V近傍の印加電圧で中性ドナーの衝突電離過程により負性微分抵抗が生じ、電流フィラメントが形成される。静的なI-V特性はS字形で、そのヒステリシス領域においてdc+acの電圧を印加し電流フィラメントの分岐現象とカオスを調べた。駆動周波数f_0(0.9MHZ≦f_0≦1.4MHZ)及び直流バイアスV_0(2.1V≦V_0≦2.9V)を制御パラメータとして分岐の相図を求めた結果、カオスの海に周期島が規則的に浮かんでいることがわかった。f_0を固定してV_0を増加させてゆくと1T→C→7T→C→6T→C→‥‥→3T→C→2T→1T(C:カオス)といった周期構造とカオスのくりかえしの分岐が得られた。シミュレーションでも同様の分岐図が得られ、周期島の緑ではインターミッテンシー及び周期倍分岐が認められた。実験では周期2T→1Tの周期倍分岐はスムースでなく、分岐点近傍で外因性クライシス(2Tと1Tのランダムなジャンプ)が観測された。 実験で得られたカオス振動の2次元リサージュ図形及び3次元リサージュ図形のポアンカレ切断面はシミュレーションで得られたものと酷似していた。GrassbergerとProcacciaのアルゴリズムを用いてカオス振動の相関次元を求めた結果、例えばV=2.19±0.1という値が得られた。又K2エントロピーはK_2=0.29±0.07が得られた。このことからカオスの決定論的性質が証明された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Aoki.;N.Mugibayashi.;K.Yamamoto.: Physica Scripta. T14. 76-81 (1986)
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[Publications] K.Aoki.;K.Yamamoto.;N.Mugibayashi.: J.Phys.Soc.Jpn.57. 26-29 (1988)
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[Publications] K.Aoki.;N.Mugibayashi.: Phys.Lett.128A. 349-353 (1988)
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[Publications] K.Aoki.;N.Nugibayashi.: appl.Phys.A48. (1989)
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[Publications] K.Aoki.;K.Yamamoto.: Appl.Phys.A48. (1989)
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[Publications] K.Aoki.;K.Yamamoto.;N.Mugibayashi.: Proc.19th Int.Conf.Phys.Semicond.(Warsaw). 1989.