Research Abstract |
アルゴン・イオン・レーザーを光源とし, ダブル回折格子分光器を分析器とし, 多チャンネル素子を検出器とする高感度・高分解能のレーザー・ラマン分光装置を整備した. また, 光散乱用の循環型ヘリウム3クライオスタットを製作し, 500ミリ度からラムダ転位温度までの超流動ヘリウムのレーザー・ラマン散乱装置を完成させた. 上記装置を用いて, まず純粋ヘリウム4の2ロトン・ラマン散乱スペクトルの圧力依存性を測定した. それにより, 以下に列記する結果が得られた. i)2-ロトン・ピークのエネルギー値は, 圧力の増加とともに減少する. ii)そのエネルギー値は, 中性子散乱で観測された単一ロトン・エネルギーの2倍より, 約3kg/cm2未満の圧力では小さく, それ以上では大きく観測される. iii)スペクトル形状に関しては, 2-ロトン・ピークは全ての圧力で, 鋭いピークとして観測される. iv)これらの実験事実は, 従来は確立された理論とみなされていた, ルボルズーザバドフスキー・モデルによるロトンーロトン相互作用の考えでは説明できない. v)もし, 中性子散乱で測定された単一ロトン・エネルギーの2倍と, 2-ロトン・ラマン散乱のピークのエネルギーとの差を, ロトンーロトン相互作用エネルギーとみなすと, この相互作用は, 圧力が小さいときは引力, 圧力が大きいときは斥力ということになるが, この結果は, 米国の理論グールプのベデールーパインズーザバドフスキーの予測と一致する. 純粋ヘリウム4の成果をうけて, ヘリウム3-4混合液の測定に入った. まず, ガス容器を作り, 濃度1, 2, 3, 4, 5, 10, 15, 20, 25%のための混合ガスを用意した. それらの試料について, 測定が進行中である.
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