1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540267
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青木 亮三 九州大学, 理学部, 教授 (70037175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 肇 九州大学, 理学部, 教授 (90037143)
上野 照剛 九州大学, 工学部, 教授 (00037988)
加藤 元博 九州大学, 医学部, 教授 (90038638)
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Keywords | 脳波 / α波スペクトル / 光ドライビング効果 / カオス / 次元解析 / モード引き込み効果 |
Research Abstract |
人間の脳は10^8個以上の神経細胞が10^<11〜12>のシナプスによって結合された複雑な神経回路網を構成しており, それによる知覚思考判断などの高度な情報処理のメカニズムは未だ解明されていない. これらの脳活動の1つの反映である脳波は, 従来から特定の脳障害の診断にその時系列波形が観察利用されているのみであったが, 最近, そのカオス的振動特性の観点から外国でも興味がもたれている. 我々は, 種々の外的刺戟條件下での脳波のスペクトル解析を行い, 脳機能の一端を伺い知ることを目的として実験を行い, 昭和62年度には以下のような結果を得ていくつかの学会研究会に報告を行った. 脳波は, 閉眼安静の無刺戟状態では神経回路網の固有振動モードに相当するα波(W_α=8〜12Hz)のスペクトルピークを示す. これに眼を通じて周期閃光刺戟Wexを加えると, 脳波には強制振動モードに相当するW_<ex>ピークが同時に現れる. このときW_<ex>がW_αに近くなると両者の間に興味ある干渉効果が生ずる. それは外刺戟W_<ex>の強度や近づきの程度に大きく依存するが, ここで発見された事実は, 固有振動のW_αの特性によって干渉効果が明瞭に区別される点である. 即ちW_αスペクトルが単峰型の場合には近接したW_<ex>によってW_αモードは乱されてスペクトルピークは分散するが, W_αが多峰型の場合にはW_<ex>の引き込み効果が生じて1つの鋭いピークが形成される. このような外部光刺戟の影響効果は脳波時系列のカオス解析の結果にも明らかに反映されている. 即ち光刺戟によって単峰型の場合には位相空間軌跡分布が, より散逸化するのに対して, 単峰型の場合にはアトラクター構造が見られるようになる. しかしいづれの場合にも短い時系列(数Aec以下)の脳波特性はカオス的様相であるが, 長時間に渉る場合には確定したカオス次元は与えられなかった.
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[Publications] R. Aoki;T. Miyashita;M. Kato; and S. Ueno: Proceeding of the 6th International Conference on Biomagnetism(1987, Tokyo)(to be published). (1988)
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[Publications] 青木亮三, 宮下豪, 上野照剛, 加藤元博, 堺雄三, 岡本寿夫: 電子情報通信学会技術研究報告. MBE-87. 7-12 (1988)
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[Publications] 青木亮三, 宮下豪, 加藤元博, 堺雄三, 岡本寿夫, 上野照剛: 日本ME学会「生体時系列とゆらぎ研究会」報告集. 1.1. 63-64 (1987)