1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540272
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
久保 英範 福岡工業大学, 工学部, 教授 (10037913)
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Keywords | 異方性の競合する混晶 / NMR / 相転移 / スピングラス / 緩和時間 |
Research Abstract |
1.磁気異方性の競合する反強磁性混晶 混晶CsMn_<1-x>Co_xCl_3・2H_2Oにおける中間相の磁気的性質をプロトンNMRによって調べた. 磁場によるシフトや暖和時間を調べることによって, 微視的な観点から次の点を明らかにした. すなわち, (1)中間濃度に生ずる中間相においてはCsMmCl_3・2H_2OとCsCaCl_3・2H_2Oの磁気容易軸方向を向いた2つの副磁区から成立っており, それらの中間には磁壁がある. (2)これらの2つの副磁区は徹視的に見ても複雑に入り組んで共存し, 各々の副磁区が巨視的な大きさをもつ. (3)磁壁は温度や外部磁場によって容易に移動し, 従って副磁区の大きさは容易に変化する. (4)中間相と反強磁性相の間の相転移は2つの副磁区の中の1つが生成あるいは消滅することによって行なわれる. 従って一般の相転移と異り, 結晶全体に渡る相転移ではなくて, 副磁区の1つの領域においてのみ相転移は生ずる事が明らかになった. 現在, 磁気混晶の研究は数多く行われているが以上の結果は微視的に見た中間相のイメージとして非常にハッキリしており, 意義あるものである. (これらの結果の概略は裏面の論文1に示されており, 学会においても発表した. 現在英文論文として準備中). 2.スピングラスのNMR スピングラスの混晶としてCa_<1-x>MnxCl_22H_2OのプロトンNMRを行った. Mn濃度がうすくMnが孤立しているときはMnモーメントは5MBのみならず3MBのものもあることを確認し, Mnスピンの緩和時間が非常に長いことを示した. (現在投稿中). Mn濃度を増すと約5%からスピングラス相に入る. このときMnモーメントの大きさはCoモーメントとは異るのでMn付近のプロトンNMRはサテライトラインとして観測されるはずである. しかし, サテライトラインは消滅してしまう. 現在, ハッキリした結論は得られておらず, 〓〓実験中である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 久保 英範: 福岡工業大学エレクトロニクス研究所所報. 4. 49-52 (1987)
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[Publications] 浜崎 達一: 九州産業大学教養部紀要. 23. (1987)
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[Publications] Hidenori KUBO: J.Phys.Soc.Jpn.