1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540272
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
久保 英範 福岡工業大学, 工学部, 教授 (10037913)
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Keywords | スピングラス相 / 混晶 / 交換相互作用の競合 |
Research Abstract |
最近,磁気異方性や交換相互作用などの磁気的な相互作用が競合する磁気混晶にでは中間濃度領域で,新しい磁気的な相が存在することが指摘されてきた.本研究においては,混晶系の核磁気共鳴を通じて傾いた反強磁性相やスピングラス相のスピン構造を微視的に明らかにすると共に相転移の磁気的な性質に関して明らかにしてきた. 本年度は交換相互作用の競合する混晶に関してNMRを行い,その磁気的な性質を明らかにした。交換相互作用が競合する混晶ではスピングラス相が生じる事が知られる.具体的にはCo_<1ーx>Mn_xC1_22H_2Oを研究対象とした.これは2つとも,反強磁性体であるがcー軸方向の交換相互作用が競合している.約2.5Kでスピングラス相へ転移し,また低温では約20%で反強磁性相からスピングラス相へ転移する事を明らかにした. まずスピングラス相のスピン構造がどうなっているのかを研究した.スピングラス相におけるスピン構造はCo形とMn形のスピン構造に加えて中間型のスピン構造が共存することをプロトンNMRによって明らかにした(これは目下論文を投稿中である).スピングラス相から反強磁性相への相転移に関し,Mn濃度30%と70%において,プロトンNMRのスピンー格子緩和時間の測定によりスピンの動的な動きを見た.その結果スピンー格子緩和時間は転移点でなんの変化もない事が分かった.この結果は大変興味深いものであり,いわゆる全スピンが協力して全体として相転移を起こすという通常の相転移ではないことを暗示している.この点に関しては更に研究中である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 久保英範: "磁気混晶Co_<1ーx>Mn_xCl_2・2H_2OのNMR" 福岡工大エレクトロニクス研究所報. 6. 13-17 (1989)
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[Publications] H.Kubo: "Phase Transition in the Antifenomagnetic Mixture CsMn_<1ーx>Co_xCl_3・2H_2O with competing Anisotropies" Phys.Rev.B. 40. 9098-9103 (1989)