1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540277
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 勝彦 東京大学, 理学部, 助教授 (00111914)
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Keywords | インフレーション / 宇宙無毛定理 / クームホール / ブラックホール / 初期宇宙 / 宇宙創生 |
Research Abstract |
インフレーション宇宙論は、一般に宇宙を一様にする機構と考えられている。しかし宇宙創生時において極めて幅の大きいゆらぎが存在する時にも、宇宙は一様化されるのであろうか。前年度において解析的な法により極めて大きい密度地が作られた時、その領域はブラックホール・ワームホールへと進化する事を示した。 今年度においては、そのモデルを球対称ではあるが似意の幅のゆらぎの場合を調べるために、数値計算のプログラムの開発を進めた。基本的にはADM形式により、スカラー場の運動方程式とアインシュタイン方程式を連立して解く事である。簡単化のために物質場は無視した。スカラー場のモデルとしては、リンデによるガオティクインフレーション型のV(φ)=λφ^4を仮定した。その数値計算の結果、最終的なものではないが次の結果が得られた。 1.同じ振幅のゆらぎでもその波長が短いものは、空間微分による項が大きく寄与するためにエネルギーとして大きく効果をあらわすために、地平線が早くあらわれる。これはブラックホールが形成されることを示している。 2.進化の過程で、宇宙論的粒子地平線、アパレント地平線がそれぞれ複数個現れる様な複雑な時空構造へと発展することがわかった。 今後この結果を系統的に調べるために多くの場合(振幅、波長、ポテンシャル形等)について計算を進め、その最終的時空構造がどの様に分類されるかを明らかにする。
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[Publications] K,Sato: IAU Synposium Large Scale Structure of the Universe,ed by J.Andonze. 67-75 (1988)
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[Publications] K,Sato・H,Kodama: Nncl.Phys.A478. 223-229 (1988)
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[Publications] M,Kawasaki・K,Sato: Phys.Rev.D38. 1321-1324 (1988)
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[Publications] N,Terasawa・M,Kawasaki・K,Sato: Nncl.Phys.B302. 697-738 (1988)
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[Publications] N,Terasawa・K,Sato: Prog.Theor.Phys.80. 468-476 (1988)