1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540285
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中西 一郎 北海道大学, 理学部, 助教授 (10164229)
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Keywords | 上部マントル / 反射波 / 実体波 / 深発地震 / 遷移層 / 相転移 / 地震計アレイ / ビームフォーミング |
Research Abstract |
1.59個の遠地地震からのP波初動を解析した。北海道内の観測点に対する走時と振幅の観測点異常を求めた。走時異常から3次元インバージョンの手法を用いて北海道下の地殻・最上部マントルの3次元インバージョンの手法を用いて北海道下の地殻・最上部マントルの3次元P波速度構造を決定した。日高山脈下の深さ50-100kmに8%の低速度域が存在することが明らかになった。この低速度域によって日高山脈周辺の観測点で見られる走時異常と振幅異常の相関を定性的に説明できる。 第4紀の堆積層の上にある観測点で振幅の増大が顕著である。 2.P'P'先駆波を観測解析した。2年間で9個の地震に対して明瞭なP'P'波が記録されていたので、これらの地震をスタッキング・フィルター等のアレイ処理を用いて解析した。この処理では〓で求めた観測点異常が重要であることが明らかになった。ディジタルデータを用いているため過去の研究のように深発地震に限ることなく浅発地震をも用いることができ調査領域を広げることができた。大西洋中央海嶺を鋏む2点で650km不連続の深さが650と660kmに求まり、中央海嶺直下を除いてはこの不連続の深さに異常のないことがわかった。東太平洋海嶺と南米南端の中央点の位置で不連続の深さが610kmとなったがこのデータは他よりSN比が低いので今後さらに詳しい解析が必要である。 〓千島-アリューシャン列島に沿って震央距離6°-55°で発生した67個の浅発地震のP波初動と後続波の走時から太平洋北西縁の深さ800〓までのP波速度構造を決定した。走時・スローネスデータを用いた試行錯誤法とt-Pデータのインバージョンの2方法を採用した。走時にジャンプは見られず、最上部マントルの低速度層は太平洋の中で海洋底年代の古いこの地域の下では存在しないことが明らかになった。650〓不連続の深さは700〓に決った。これはこの不連続のプレート沈み込み近傍での起伏を示す可能性がある。
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[Publications] 中西一郎: 北海道大学地球物理学研究報告. 49. 1-10 (1987)
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[Publications] 中西一郎: 地震. 41. 133-144 (1988)
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[Publications] 中西一郎: Geophysical Journal of the Royal Astronomical Soclety. 93. 335-346 (1988)
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[Publications] 中西一郎: Journal of Physics of the Earth.
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[Publications] 杉山禎: Journal of Physics of the Earth.