1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540289
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中島 正志 福井大学, 教育学部, 教授 (70093440)
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Keywords | 姶良火山灰 / 広域テフラ / 磁気図 / 残留磁化 / 地磁気永年変化 |
Research Abstract |
代表的広域テフラで, 鹿児島県の姶良カルデラから約2万年前に噴出し, 九州から東北地方にかけて広く分布する姶良火山灰の残留磁化測定によって, 2万年前の日本列島の磁気図を作製することを目的とした. 鹿児島と福井県の各3地点, 島根・岡山・岐阜・福島県の各1地点, 計10地点に露出する姶良火山灰層から, 残留磁化測定用の試料を採取した. 全ての試料は, 交流段階消磁実験に対し安定な残留磁化を持っていた. 残留磁化はスピナー磁力計(SMM-85)で測定し, 交流消磁には本科研比で購入した交流消磁装置(DEM-8601-2)を使用した. 各地の姶良火山灰の磁化方向からVGP(仮想磁極の位置)を計算し, その平均値(緯度87.7°N, 経度73.0°W)を日本列島の磁気分布からみた2万年前の磁極位置とした. この時代の地球磁場も双極子磁場で近似できるものとして, その磁極の位置を基礎に, 日本列島の磁気図を作成した. 偏角は, 九州で3°E, 北海道で5.5°Eとなり北へいくほど東偏する. 伏角は, 41°から52°の範囲で分布する. この第1近似で求めた磁気図と, 各地点での磁化方向を比べると, 鹿児島県のデータが数度西偏しているのが目だつ. 同じ傾向は, 今年度に測定を行った17世紀と8世紀の九州の考古地磁気測定結果を, 近畿地方の永年変化曲線(Hirooka, 1971)と比べたときにも見られる. 従って, このずれは, 2万年前の非双極子成分による局地異常を示している可能性が高い. 姶良火山灰で磁気図を作成することにより, 地磁気永年変化を考える上で重要な要素となる局地異常について議論できることが明らかになったため, 今後さらに他のいくつかの広域テフラについての古地磁気測定を行い日本の先史時代の地磁気永年変化を解明していく予定である.
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