1987 Fiscal Year Annual Research Report
太陽系プラズマにおける大振幅アルフェン波の非線型現象
Project/Area Number |
62540309
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺沢 敏夫 京都大学, 理学部, 助教授 (30134662)
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Keywords | 天体プラズマ / アルフェン波 / 非線型現象 / サイクロトロン共鳴加熱 |
Research Abstract |
我々は太陽系プラズマ内に存在する大振幅アルフェン波の非線型現象に関する研究を様々な角度から行っている今年度の研究は2つの項目からなり, (1)平均磁場に平行に伝搬するアルフェン波のイオン・ビーム・サイクロトロン不安定性の非線型現象の研究, (2)斜め〜垂直伝搬する磁気音波とイオンの非線型相互作用の研究, である. (1)イオン・ビーム・サイクロトロン不安定性の研究はこれまで周期系を仮定していたシミュレーション・コードにより行われてきた. 実際の現象の生起しているのは開放系であり, より現実的な開放系のシミュレーションを行う必要があった. 我々は新たに開発した開放系のシミュレーション・コードを用いて研究を行い, この不安定性の非線型段階では開放系特有の現象が重要であることを見いだした. 従来の周期系シミュレーションに基づいた観測結果の解釈は再検討の必要がある. (2)今までのMHD乱流による粒子の加速現象に関する研究はサイクロトロン基本波・高調波共鳴を通して起こる加速過程に限られてきた. 本研究では, この共鳴とは異なり, イオン・サイクロトロン周波数の1/Nでおこる低調波共鳴に注目して研究を行った. この低調波共鳴はローレンツ力の中のV×B項の非線型性を通して起こるもので, その過程の解析には数値的手法が不可欠である. この共鳴の可能性は20年前にソビエト学派によって指摘されていたが, 彼らの結果は非線型性が小さいとした近似のもとでの解析解を求めたもので, イオンの加速の限界は明らかではなかった. 我々は数値実験による研究を行い, この過程によりイオンはアルフェン速度の10〜20倍以上にも加速されうることを見いだした. 従来のMHD乱流内での粒子加速理論はこの低調波共鳴過程を考慮しておらず, 再検討の必要がある.
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