1987 Fiscal Year Annual Research Report
非線形, 非平衡系統計力学の理論とその非線形応答, 分子の自己拡散及び化学反応への応用
Project/Area Number |
62540318
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 昭雄 東京大学, 教養学部, 助教授 (40113914)
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Keywords | 非線形応答 / 分子間相互作用 / ブラウン運動 / 平均自乗変位 / Einsteinの関係 / 拡散定数 / 揺らぎ / 化学反応 |
Research Abstract |
1.非線形応答の理論についてはKerr効果緩和の記述に際して電場が極限に低い場合には, 少なくても二個の緩和関数が必要であることを示し, 従来の一個で充分であるという考えが成立しないことが解った. 2.溶液系で分子間相互作用をしている溶質分子の拡散過程の動的性質を理解するために, 二体粒子のブラウン運動をモデルに導入した. ブラウン運動を表す方程式として, Smoluchowski方程式を用いた. 分子間ポテンシャルにはLennard-Jonesポテンシャルを導入して数値計算を行った. その結果, 平均自乗変位が時間の大きいところで, 時間に比例すること, またその傾斜がポテンシャルのパラメーターに依存することが解った. 平均自乗変位が果して引力的な相互作用あるいは反発的な相互作用によるものであるかを明らかにするために対数型ポテンシャルを導入したが, この場合には, 確率密度および任意のモーメントが解析的に厳密に計算できることを見いだした. またrを粒子間拒離としたとき, A/r^n(A>o, n=2.4, …, 12)型のポテンシャルについても平均自乗変位を数値的に求めた結果, 主に反発的な相互作用に強く依存することが解った. 本研究結果はまた相互作用をする系の平均自乗変位がポテンシャルのパラメーターに依存することより, Einsteinの関係より拡散定数を求めてはいけないことを当然ながら示している. 3.外部より強制的に揺らぎを加えた系の化学反応に関しては, 種々の興味ある結果を得ることができた. その中でも, 平衡状態より途中の遷移状態の前の揺らぎが増大することがありうることを見いだした. この揺らぎ突出現象は非常に面白く, 今後更に追究する必要がある.
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[Publications] Akio Morita: Journal of Chemical Physics.
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[Publications] Akio Morita and Masakazu Katsumoto: Physical Review Letters.
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[Publications] Akio Morita: Journal of Chemical Physics.