1987 Fiscal Year Annual Research Report
立体保護効果により安定化された特異構造をもつリン化合物の研究
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62540371
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉藤 正明 東京大学, 理学部, 助手 (90011676)
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Keywords | 立体保護 / 不安定化合物 / 金属カルボニル / ジホスフェン / E / Z異性化 / ジホスファアレン / ホスファクムレン / 分子内環化反応 |
Research Abstract |
立体的にかさ高い置換基の立体保護効果を利用して, 従来は不安定で単離・固定が困難であると予想されてきたようなさまざまな型のリン原子を含む高反応性活性種の発生・単離およびその物性・反応性の研究を行うことを目的とした. 1.ジホスフェン類の6族金属カルボニル錯体の研究:2, 4, 6-トリーt-ブチルフェニル基(Ar基と略す)を両端に有する. ArP=PArのCr錯体は生成しなかったが, W(CO)_5錯体の合成には成功した. ArP=PMes(Mes=メシチル基)の錯体はCr,Mo,Wともペンタカルボニル錯体が合成できた. 錯体のE/Z異性化も進行した. 配位子遊離に関しては, 配位子交換, 酸化的切断などの方法を試みたが, 配位子の酸化などが競争して進行し, 現在までのところ所期の目的を達していない. 2.非対称ジホスファアレンの合成の試み:Ar基とトリプチシル基をもつジホスファアレンの合成中間体が調製できたので, 現在最終段階の条件検討を行っている. 3.α,ω-ジホスファクムレン類の合成の試み:ジホスフェンとジハロカルベンとの反応でジホスフィランが合成でき, これにアルキルリチウム試薬を作用させることにより1, 3-ジホスファアレンが合成できることがわかった. 現在, 本反応の一般性を検討中である. 4.ホスファクムレンの遷移金属錯体の研究:Cr,Mo,Wの錯体は, σ型錯体を, Pd,Ptではπ型錯体を形成することがNMR, X線結晶構造解析などでわかった. Feとは二核錯体が生成することが結晶構造解析でも確認された. 5.1, 3-ジホスファアレンの熱反応:ArP=C=PArの熱反応で, 新しい炭素-炭素結合反応を含む分子内環化反応が効率よく進行し, ホスファナフタレン骨格が生成した.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M. Yoshifuji, K. Toyota K. Hirotsu et al.: Tetrahedron. 44. (1988)
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[Publications] M. Yoshifuji, T. Niitsu, H. H. Karsch et al.: Tetrahedron Lett.29. 333-336 (1988)
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[Publications] M. Yoshifuji, N. Inamoto, et al.: Phosphorus and Sulfur. 30. 527-530 (1987)
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[Publications] J. F. Nixon, M. Yoshifuji, et al.: J. Organometallic Chem.(1988)
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[Publications] M. Yoshifuji, S. Sasaki, et al.: (1988)
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[Publications] M. Yoshifuji, T. Sato, et al.: (1988)