1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540389
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
植村 元一 大阪市立大学, 理学部, 講師 (90047241)
|
Keywords | (アレーン)クロム錯体 / 遠隔立体コントロール / ジアステレオ面選択錯体化 / (ジエン)鉄カルボニル錯体 |
Research Abstract |
1.側鎖部分に不斉炭素を有するオルト及びメタニ置換芳香族化合物は, 対応する(アレーン)クロム錯体にすると二つのジアステレオマーが存在する. これら各々のジアステレオマーを立体選択的に合成することは有機合成上価値ある研究課題であり, 今まで報告例は殆んどなかった. 以前我々はオルトニ置換二級ベンジルアルコール誘導体のクロム錯体の各々の立体異性体を選択的に合成する方法を見い出した. 今回, オルト位に電子供与基をもち, 側鎖部分のベンジル位にアセタール基を, (C-2位あるいはC-3位に水酸基を有する芳香族化合物を(ナフタリン)クロムトリカルボニルでリガンド交換をおこなうと, ジアステレオマーの一つを高い選択性で合成することができた. これらの(アレーン)クロム錯体は側鎖部分の離れた位置での立体化学をコントロールすることができた. すなわち, ベンジルアセタールを加水分解し得られたケトン体に, 反応させる求核試験薬の加える順序をかえるだけでC-1位とC-3位での立体異性体を各々高い選択性で合成することができた. 更に側鎖部分にアリルアルコール単位があると不斉中心を更に離れた位置に移すことができ, C-1位とC-5位での立体化学のコントロールができた. さらにクロム基の配位した芳香環は酸化してカルボキシル基に, 求核試薬を位置, 立体特異的に反応させ非芳香環への変換もおこなった. 以上のように(アレーン)クロム錯体を用いて種々の高い選択的な有機合成をおこなってきた. 2.(ジエン)鉄カルボニル錯体のα一位水酸基は, 酸と処理すると(ジエニル)鉄カルボニルカチオン錯体を生じ, この錯体は求核試薬とジエニル基の両端で反応し混合物を与える. (アレーン)クロム錯体と同様にカチオン錯体を単離せず, 求核試薬とルイス酸を同一系内で反応させると, 水酸基のある炭素上で立体特異的に炭素-炭素結合が生成することがわかった.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] M. Uemura: J. Am. Chem. Soc.,. 109. 5277-5288 (1987)
-
[Publications] M. Uemura: Tetrahedron Lett.,. 28. 641-644 (1987)