1987 Fiscal Year Annual Research Report
Ce同位体, Nd同位体および希土類元素存在度によるマントル物質の進化に関する研究
Project/Area Number |
62540427
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 洋 東京大学, 理学部, 講師 (60090544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 彰正 東京大学, 理学部, 教授 (40030788)
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Keywords | La-Ce年代測定法 / Sm-Nd年代測定法 / 希土類元素パターン / マントル / 大陸地殻 / Amitsoq片麻岩 / 中央海嶺玄武岩 |
Research Abstract |
希土類元素同士の放射壊変系である. La-Ce及びSm-Nd系を利用した, Ce同位体トレーサ及びNd同位体トレーサと希土類元素存在度パターンをもとにして, マントル及び地殻の化学的進化, マントルの均一性を検討することが本研究の目的である. 主な成果は以下の通りである. (1)LaとCeについて精度の高い同位体比を求めることに成功した. それをもとにすると各々の同位体組成(%)は, ^<138>La(0.09016), ^<139>La(99.9018):^<136>Ce(0.1878), ^<138>Ce(0.2512), ^<140>Ce(88.433), ^<142>Ce(11.128)となる. (2)フィンランドのKemlo及びMustikkamakiからの鉱物, グリーンランドのAmitsoq片麻岩ならびに南アフリカのBushveldハンレイ岩についてのLa-Ce年代, Sm-Nd年代の研究をもとにして, λβ^<138>Laとして, 従来提唱されている値よりも約20%大きな値である2.77×10^<+2>Yr^<-1>が妥当であることを示した. (3)地球最古の岩石である西グリーンランドAmitsoq片麻岩についての研究により, これらの岩石が生成した時代(36〜38億年前)に, 既に地殻は化学的に分化していたことが明らかとなった. Godthaob地域のgrey gneissは, ほぼ隕石的な希土類元素パターンをもった物質から生じたのに対して, Isua地域のgrey gneissは軽希土類元素に欠乏した物質から生じたと考えられ, Sourceの多様性が示された. さらに, Ce,Nd初生同位体比からは, この分化したSourceは, 地球形成後のかなり初期の段階から存在していた事が推測された. (4)地球上の代表的な玄武岩及び大陸地殻の酸性岩のCe・Nd同位体比を求めた. そして, 大西洋中央海嶺及び東太平洋海膨からの中央海嶺玄武岩のCe,Nd同位体比は, 地点にかかわらずに, 比較的類似した値(εCe=-1〜-4, εNd=+7〜+14程度)であることが明らかとなった. さらに, 大陸地殻の酸性岩は, コンドライト的または液体型的な希土類元素パターンの物質から生じたことが示された.
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[Publications] T. Tanaka, H. Shimizu, Y. Kawata and A. Masuda: Nature. 327. 113-117 (1987)
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[Publications] A. Makishima, H. Shimizu, and A. Masuda: Mass Spectroscopy. 35. 64-72 (1987)
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[Publications] T. Tanaka, H. Shimizu, Y. Kawata and A. Masuda: Nature. (1988)
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[Publications] T. Hirata, H. Shimizu, T. Akagi, H. Sawatari, and A. Masuda: Jour. Analytical Atomic Spectrometry.
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[Publications] A. Masuda, H. Shimizu, S. Nakai, A. Makishima, and O. Kouvo: Earth Planet Sci. Lett.