1987 Fiscal Year Annual Research Report
数値演算処理による高分解能ESR分光分析法の開発とその応用に関する研究
Project/Area Number |
62540436
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 敏 京都大学, 理学部, 助手 (40025383)
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Keywords | 高分解能ESR分光分析法 / スピントラップーラジカルクロマトグラフィー / 数値デカップリング解析法 / ESRスペクトルの線形先鋭化処理 / フーリエ変換 / スピンアダクト / ヨードニトロベンゼン / ニトロフェニルラジカル |
Research Abstract |
溶液中のラジカル種のESRスペクトルからhfccや, 核種および核数などのパラメータを, 数値演算処理により直接抽出する解析法, つまり数値デカップリング解析法(NDA)の開発を行った. NDA法を用いることにより, 従来はかなりの熟練を要したESRスペクトルの解析を, マイクロコンピュータで自動的に行うことができるようになった. しかも, 核種に対する選択性hfccの分解能などの点で優れた特性を有し, 解析の難しい複雑で低分解能であるスペクトルから正確なパラメータを計算で得ることができた. NDA法とMNPを用いたスピントラップーラジカルクロマトグラフ法とを併用して, ヨードニトロベンゼンの電気化学的還元過程に, P-ニトロフェニルラジカルが関与することを確認し, その機構を解明した. また, 検出されたラジカルの一つは, スピンアダクトとP-ニトロフェニルラジカルが反応して生じた副次スピンアダクトであることが, その複雑なESRスペクトルを解析することにより判明した. さらに, アリールジアゾニウム塩を分解して生成するアリールラジカルをMNPで捕択する場合にも, 副次スピンアダクトが生成することを確認し, それらの生成機構を詳細に検討した. 一方, 線巾よりも小さなhfccを観測するために, フーリエ変換を用いた線形の先鋭化(RE)処理をESRスペクトルに応用した. スチルベン及びトリアルキルアミンの溶液に, 光照射した際に生成するラジカルをMNPで捕択すると, 一個のβ-水素と一個の窒素による単純な6本の吸収線が得られた. しかし, トルエン中で, -60°Cにおいて得られたラジカルが, 1,2-ジフェニルエチルラジカルであることが判明し, その反応機構を解明することができた. 従来, γ位のアリール水素核は, ESRでは観測不可能とされていたが, 緩和時間の最適化とRE処理により, それが可能であることが明らかとなった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K. Nozaki: J. Magnelic Resonance.
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[Publications] K. Nozaki: J. Physical Chemistry.
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[Publications] T. Nagaoka: J. Electroanalytical Chemistry. 242. 323-326 (1988)
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[Publications] I. Sakamoto: J. Electroanalytical Chemistry.
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[Publications] T. Oyama: J. Physical Chemistry.
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[Publications] T. Oyama: Analytical Chemistry.