1987 Fiscal Year Annual Research Report
金属に配位した分子の交換反応に関する高圧NMR法による研究
Project/Area Number |
62540448
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
矢野 良子 和洋女子大学, 文家政学部, 助教授 (80015768)
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Keywords | 高圧NMR法 / 2,9-ジメチルフェナンスロリン銅錯体 / 電子交換 / 活性化体積 |
Research Abstract |
中心金属の電子移動が、その金属上にある配位子の交換のひきがねとなりうるかどうかについて研究を行い成果を得た。四面体型配位構造の安定な、ビス-(2、9-ジメチル-1、10-フェナンスロリン)銅(I)、Cu(dmp)_2^+、錯体はアセトニトリル中で共存するCu(dmp)_2^<2+>錯体を電子交換をしている。Cu(I)錯体の2、9位メチル基の1H-NMRにより直接、交換速度定数を求めたところ、k_2=8.3×10^3mol^<-1>S^<-1>(298K)であった。このk_2は、morcusの関係式を用いる間接的方法(従来4×10^4という値の報告がある)によらない方法で求めた初めての値である。また、ΔH^*=32.7KJ・mol^<-1>、Δ5^*=60.7J・mol^<-1>.deg^<-1>であった。この系に遊離のdmpを共存させてNMRの温度依存性を観測したが、配位子交換を示すようなスペクトル変化はおこらなかった。このことは、Cu(I)→Cu(II)という電子交換の過程において、Cu(II)錯体にとって有利な平面4配位型や、D4h対象の5、あるいは、6配位型配位構造へ変化がおきていないということを示したと思われる。なぜなら、もしそのような構造変化があれば、配位子交換が必然的に伴うはずだからである。このことを確認するため、高圧NMP法により、Cu(dmp)_2^+【double arrow】bu(dmp)2^2^<2+>の電子交換の活性化体積、ΔV^*を求めたところ、-2.4cm^3mol^<-1>となった。絶対値がこのように小さなΔV^*は、電子交換が外圏機構でおこっていることを示唆している。すなわち、電子交換の活性化状態において内圏構造は保持されることが示された。2、9位の2つのメチル基の存在がCu(II)錯体の四面体型配位構造を異常に安定化させているものと思われる。
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