1987 Fiscal Year Annual Research Report
二, 三の金属金属間結合を持つ多核錯体の光化学的挙動
Project/Area Number |
62540455
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 陽一 東北大学, 理学部, 助教授 (30004500)
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Keywords | 多核錯体 / クラスター錯体 / 光化学 / 溶媒効果 / 金属金属間結合 / 白金錯体 / モリブデン錯体 / 圧力効果 |
Research Abstract |
発光性クラスタ-錯体、[Mo_6Cl_<14>]^<2->(Mo_6と略す)および[Pt_2(H_2P_2O_5)_4]^<4->(Pt_2と略す)の溶液内での光化学的挙動を溶媒効果、添加塩効果に主眼をおいて調べた。1.Mo6に関する研究成果.760nmにみられる巾広い発光ピ-クの寿命(N_2レ-ザ-、337.1nm励起)は著しい溶媒効果を示した(CH_3CN、180μs;0.1M塩酸、3.5μs)。また水溶液中ではHCl濃度に大きく依存した(6M塩酸、13.5μs)。また発光強度も著しい溶媒依存性を示した。これらの結果を合わせ解析すると、発光過程の速度(〜1×10^3s^<-1>は溶媒によらずほぼ一定であるが、無輻射過程の速度が著しい溶媒効果を示すことが明らかとなった。発光の[IrCl_6]^<2->による消光速度はCH_3CN中で3×10^6M^<-1>s^<-1>、0.6M塩酸中で4.5×10^9M^<-1>s^<-1>であった。添加塩効果は、前者で著しいのに対し後者ではほとんどみられず、圧力効果(2500Mpaまで)も前者だけにみられた。2.Pt_2に関する研究結果、溶解度の関数で溶媒効果は調べていない。515nmにみられる発光の[Mo(CN)_8]^<4->による水溶液中での消光反応([H^+]=0.01M)は著しい添加陽イオンによる影響を受けた。Mo_6の場合と同様、アルカリ金属イオンに対してはStokes半径と消光速度との間に良好な相関関係が認められた。以上Mo_6、Pt_2の光化学的挙動についてみられた著しい溶媒効果はいずれも他の錯体について知られているものに比べ桁違いに大きい。このような重要な手がかりを基に今後温度依存性などを含めた系統的な実験を進めることにより、錯体の励起状態と媒質との相互作用について重要な結論が得られるものと期待される。3.その他の結果.非発光性のMo、Wクラスタ-錯体、〔M_2O_4(H_2O)_6〕^<2+>、M_3O_4(H_2O)_9〕^<4+>(M=Mo、W)について紫外光照射下での反応性を調べた。これらは予期したより紫外光に対し安定であったが、HClO_4溶液中では光触媒により錯体がClO_4^-で酸化され分解することが明らかとなり興味深い。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hideaki K.TANAKA: Inorganic Chemistry.
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[Publications] Yoichi SASAKI: Inorganic Chemistry.
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[Publications] Tadashi YaMAGUCHI: Inorganic Chemistry.