1987 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒の金属イオンに対する配位能を表わす尺度, 溶媒の配位力系列, の確立とその応用
Project/Area Number |
62540477
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宗像 恵 近畿大学, 理工学部, 教授 (80090942)
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Keywords | 溶媒 / 溶媒効果 / 溶媒の塩基性尺度 / Cd-113NMR / カドミウム(II) / ニッケル(II) / 銀(I) / リチウム(I) |
Research Abstract |
(1)4種類のニトリル類溶媒{アセトニトリル(MeCN), プロビオニトリル(PrCN), ベンゾニトリル(PhCN), アクリロニトリル(AN)}8種類のアルコール溶媒, 及び4種類のアミド溶媒中{ホルムアミド(fa), N-メチルホルムアミド(mfa), N,N-ジメチルホルムアミド(dmf)におけるNi^<2+>溶媒和イオンの電子スペクトルを測定し, これらの相対的な溶媒の配位力, coordination power(=CP), を決定した. (2)上記溶媒を用いてCd(ClO_4)_2の^<113>CdNMRスペクトルを測定した. 化学シフトは, ニトリル系では, MeCN(25)>PrCN(22.3)>PhCN(10.3)>AN(14.0), アミド系ではfa(-44.7)>mfa(-49.4)>dmf(-50.6), となり, いずれの溶媒系列においてCPが大きいものほど^<113>CdNMRシグナルは低磁場側にシフトするという注目すべき結果を得た. このことは同じ官能基を有する溶媒のCPが極めて信頼できる尺度であることを示している. さらに金属-溶媒結合の性質は官能基によって著しく異なることが理解される. これは金属イオンの関与する反応, 平衡, 構造に及ぼす溶媒効果を解明するための一つの指針を与えている. (3)各種溶媒中におけるCd^<2+>, Cu^<2+>, Ag^+, Tl^+, Li^+, の半波電位, 溶媒間移行のGibbsの自由エネルギー, 錯体の安定度定数及び^<113>CdNMRシグナルに及ぼす溶媒効果についてCPから検討した. Cu^<2+>, Cd^<2+>イオンでは上記溶媒効果はCPと極めてよい相関があることを見出した. これはCu^<2+>, Cd^<2+>やNi^<2+>イオンに極めて近い性質を示すためであると結論された. Ag^+イオンではニトリル溶媒が大きなずれを示しAg-ニトリル結合が強いことが実証された. 一方Li^+イオンでは逆にLi-ニトリル結合が弱いことが明らかにされた. 以上のことからCPはhardness-softnessがNi^<2+>イオンに類似しているものには十分適用できると結論された.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 宗像 恵,北川 進,浅原 昭生,下野 寿夫,増田 秀樹: Bulletin Chemical Society of Japan. 60. 1927-1929 (1987)
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[Publications] 増田 秀樹,町田 勝之輔,宗像 恵,北川 進,: Journal of Organometallic Chemistry. 322. 121-129 (1987)
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[Publications] 宗像 恵,北川 進,下野 寿夫,江守 恒彦,増田 秀樹: Journal of Chemical Society. Chemical Communications. 1798-1799 (1987)
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[Publications] 宗像 恵,北川 進,下野 寿夫,増田 秀樹,: Journal of Chemical Society. Chemical Communications. (1988)
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[Publications] 宗像 恵,北川 進,西井 さとみ,太垣 和一郎: 日本化学会誌. (1988)