1988 Fiscal Year Annual Research Report
蘚類培養細胞の再分化に伴う無機窒素代謝系諸酸素の発現パターンの解析
Project/Area Number |
62540507
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高見 伸治 広島大学, 理学部, 教授 (60033809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝尾 進 広島大学, 理学部, 助手 (60188109)
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Keywords | 蘚苔類培養細胞 / 無機窒素同化 / 硝酸還元酵素 / グルタミン酸脱水素酵素 / グルタミン合成酵素 / グルタミン酸生成酵素 |
Research Abstract |
62年度の研究より、蘚類フナガタミズコケSphagnum imbricatum培養細胞を用い、カルスから配偶体へと同調的に再分化させ得る系を確立した。本年度は、再分化に伴う無機窒素代謝系諸酸素(硝酸還元酵素NaR、グルタミン合成酵素GS、グルタミン酸生成酵素GOGAT、グルタミン酸脱水素酵素GDH)のin vitro活性の変動を調べた。まず、上記諸酵素の活性測定の至適条件を、当研究室で分離され生長生理学的解析の進んでいる苔類フタバネゼニゴケMarchantia paleacea var.diptera培養細胞を用いて決定した。NaRについては、その助酵素依存性が他の緑色植物とは異なっていたがTakio 1987,Takio and Hino 1988)、GS、GDH、GOGAT、については反応の至適条件は他の植物と類似していた。このフタバネゼニゴケでの結果を参考にして、フナガタミズゴケ培養細胞の上記諸酵素の至適条件を決定した。 NaRは助酵素の依存性がフタバネゼニゴケ細胞と異なり、他の緑色植物で報告されているものと同じであった。GS、GOGATは、フタバネゼニゴケ培養細胞と同様に他の植物と同じ性質であった。しかし、GDHは、その助酵素の依存性及び至適PHがフタバネゼニゴケ培養細胞や他の植物とは著しく異なっていた。 決定された至適条件を用いて、フナガタミズゴケのカルス細胞と再分化植物でのGS、GOGAT、GDH活性を測定したところ、GS、GOGAT活性では両者に差が見られなかった。一方、GDH活性は、カルスでは高い値が得られたが再分化植物では全く検出できなかった。
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[Publications] 高見伸治: Physiologia Plantarum. 73. 227-231 (1988)
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[Publications] 高見伸治: Journal of Hattori Botanical Laboratory. 64. 429-435 (1988)
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[Publications] 滝尾進: Journal of Plant Physiology. 132. 195-198 (1988)
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[Publications] 滝尾進: Journal of Plant Physiology. 132. 470-473 (1988)