1987 Fiscal Year Annual Research Report
ササゲ発芽種子からのポリ(A)ポリメラーゼ:酵素学的性質およびmRNAの機能発現に果たす役割
Project/Area Number |
62540511
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
南川 隆雄 東京都立大学, 理学部, 助教授 (30087001)
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Keywords | ポリ(A)ポリメラーゼ / mRNA / ササゲ / 発芽種子 / 転写 / ポリ(A)鎖 / ATP / 酵素 |
Research Abstract |
mRNAの3′末端へのポリ(A)鎖付加に関与する酵素, ポリ(A)ポリメラーゼをササゲ芽生えより均一タンパク質(分子量63,000)として単離し, これを用いて本酵素の諸性質を調べ, 次のような結果を得た. 1.本酵素は基質としてATP-Mn複合体を要求し, 活性は他のヌクレオチドの存在により阻害された. この阻害効果は単にMnを基質複合体から奪うために起こるのではなく不競合阻害によるものであることが判った. またMg^<2+>とFe^<2+>は本酵素の活性を強く阻害した. このうちFe^<2+>はシュウ酸を加えることによって阻害効果が除かれた. 2.mRNAや合成ポリ(A)は高いプライマー効果を示した. しかしRNAやジヌクレオチド類もプライマーとなりえた. それ故, 本酵素のみではin vivoをみられるようなmRNAのみに特異的なポリ(A)鎖付加はみられなかった. このことは, 本酵素単独では正しいプライマー認識能力がなく, プライマー選択に関与する別の因子が存在することを示している. これについては, 我々はポリソーム画分中の本酵素のKm値を低下させるタンパク質性の因子を見出しており, 現在その精製と性質について調べている. 3.精製酵素にはポリ(A)に対する特異的な分解活性が検出された. この分解活性は2価金属イオンに依存しており, 一本鎖ポリ(A)に対して特異的である. 精製酵素にこの分解活性が見られることから, 本酵素はポリ(A)鎖の合成・分解の両活性を有することが推定される. 分解活性には, 合成活性と同様に, NTPによる阻害作用がみられたが, 当初考えられたようなATPによる分解活性の阻害は起きなかった. 合成的反応条件下でも分解活性が明らかに検出されることから, 上記のプライマー認識因子とともに, 合成促進に関わる因子の存在も示唆された. プライマー認識と合成促進が同一の因子により行われている可能性もある.
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[Publications] Yamauchi, T. and T. Minamikawa: Plant Cell Physiol.28. 421-430 (1987)
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[Publications] Minamikawa, T.;N. Masuda;A. Kadota and M. Wada: Bot. Mag. Tokyo. 100. 1-8 (1987)
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[Publications] Endo, M. ;T. Minamikawa;D. Yamauchi and W. Mitsuhashi: J. Exp. Bot.38. 1988-1995 (1987)
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[Publications] Yamauchi, D.;K. Nakamura;T. Asahi and T. Minamikawa: Eur. J. Biochem.170. 515-520 (1988)