1987 Fiscal Year Annual Research Report
ホウライシダ原糸体細胞の成長様式の変化に伴なう細胞骨格の変種とその役割
Project/Area Number |
62540512
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
和田 正三 東京都立大学, 理学部, 助教授 (60011681)
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Keywords | シダ植物 / ホウライシダ / 原糸体 / 光形態形成 / 微小管 / ミクロフィブリル / コルヒチン / 青色光 |
Research Abstract |
赤色光下で先端成長をするホウライシダ原系体には, 先端部周辺に成長軸と直交して微小管がリング状に配向しており, 先端部の形状維持に何らかの役割を持っていると考えられる. 一方この細胞はコルヒチン等微小管阻害剤の処理, または青色光の連続照射によって先端が膨潤することが報告されている. 本研究では, 先端膨潤に伴なう微小管配向・分布の変化と, 細胞壁を構成するミクロフィブリルの配向を, 蛍光抗体法および白金シャドウレプリカにより観察した. 原系体は胞子を1日間暗所で吸水させた後5日間0.5Wm-2の赤色光下で培養したものを使用した. この原系体に5mMコルヒチンまたはmMのアミプロフォスメチル(APM)を投与すると, それぞれ約3時間後, 時間後には先端膨潤が観察された. 微小管は先端膨潤に先立つ投与後約1時間, および30分後にほとんど消失した. 一方青色光(1.2Wm-2)による先端膨潤時には, 照射後約2時間で先端膨潤が観察され, リング状先端部微小管の配向は, 照射後約1時間にランダムになった. ただし消失はしていなかった. 赤色光下で伸長中の原系体先端部のミクロフィブリルの配向は, 極先端部ではランダム, 亜先端部では先長軸と直交, すなわちリング状微小管と同方向, それより下では生長軸と平衡であった. 青色光による膨潤時には亜先端域を含む先端では微小管の配向同様ランダムであったが, 微小管阻害剤処理による先端膨潤時には, 極先端部を除くごく広い範囲で生長軸と直交に配向していた. 微小管阻害剤によるリング状構造の消失にもかかわらず, ミクロフィブリルの配向が見られたことは, ミクロフィブリルの配向に対する微小管の役割をもう一度検討する必要性を示唆している. むしろ微小管の配向を決めている要素の解析が重要であることがわかった.
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Research Products
(1 results)