1988 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体チラコイド膜のprolyl endopeptidaseの研究
Project/Area Number |
62540515
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
桑原 朋彦 東邦大学, 理学部, 講師 (80153435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田巻 誠 東邦大学, 理学部, 講師 (00104141)
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Keywords | タンパク質分解酵素 / チラコイド / 膜 / 光化学系II / 表在性タンパク質 / ホウレンソウ |
Research Abstract |
新たな知見及び成果 (1)ホウレンソウの光化学系II膜には1種類以上の表在性タンパク質分解酵素が結合している。 (2)上記のうちの1つには、光合成水一酸化系の23-kDaタンパク質中のPhe-Gly結合を切ることができる。この酵素はSH試薬で阻害される。 (3)他の1つは、光合成水一酸化系の18-kDaタンパク質中のPro-Ile結合、およびPro-Leu結合を切ることができることから、プロリルエンドペプチデース(E、C、3、4、21、26)であろうと考えられる。 ホウレンソウの光化学系II膜から、疎水性クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーによりタンパク質分解酵素が精製された。酵素活性は18-kDaタンパク質を基質にすることにより測定された。本酵素はゲルろ過クロマトグラフィーでは156kDaと39KDaに溶出ピークを示したが、両ピークともSDS電気泳動では39kDaのポリペプチドを示した。再クロマトグラフィーを行うと、何れのピークも156kDaと39kDaの両方のピークを生み出した。これらの結果は、本酵素が39kDaのサブユニットからなる4量体を形成することを示唆している。 本研究によって精製された酵素は、チラコイド膜から精製された初めてのタンパク質分解酵素である。本酵素の生理活性は不明であるが、本酵素の基質に成り得るタンパク質の種類が少ないことから、不特定多数のタンパク質を分解するための酵素とは考えられない。むしろある種のプロセシング酵素としてチラコイド膜構築に必要な酵素のように思われる。
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