1988 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌Rhodospirillum rubrumのプラスミドに関する研究
Project/Area Number |
62540516
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中村 運 甲南大学, 理学部, 教授 (80068072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 篤 大阪市立環境科学研究所, 研究員 (40167581)
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Keywords | 光合成細菌 / 紅色無硫黄細菌 / Rhodospirillum rubrum / 50キロベースプラスミド / プラスミドレス突然変異菌 / バクテリオクロロフィル形成能 / クロマトホア形成能 / カロチノイド形成能 |
Research Abstract |
光合成細菌Rhodospirillum rubrumは紅色無硫黄細菌の一種である。嫌気的明条件で光合成を行ない。好気的条件では従属的な吸収によって成長する。また嫌気的暗条件では発酵によって成長することができる。またこの光合成細菌は、同一の電子伝達系を光合成にも呼吸代謝にも用いているという著しい特徴がある。したがって、光合成代謝が停止すると、この菌種は従属的な酸素呼吸細菌になる。 われわれの研究室では、R.rubrumの野性株をアクリフラビンで処理すると、非紅色、すなわち白色、黄色、肉色などを呈する突然変異菌が出現することを発見した。これらの変異菌は、バクテリオクロロフィルまたはカロチノイド、あるいは両色素の合成能を失っており、これらは光合成能を欠いている。 本年度の研究実績は次の通りである。 1.この菌種は野性株に50キロベース大のプラスミドが含まれることを各種の制限酵素を用いて明らかにした。白色変異菌にこのプラスミドが含まれていないことを、あらゆる方面から検討し確認した。この成果は近く論文として公表する予定である。 2.単離したプラスミドDNAを用いて白色変異菌に形頂転換すると紅色転換体が得られ、バクテリオクロロフィル合成能、カロチノイド合成能およびクロマトホア形成能を回復する。もちろん合成能も回復している。 3.現在は、このプラスミドを制限酵素で分断し、大腸菌ベクターのPBR322を用いて当光合成菌の白色変異菌に形頂転換しているが、なかなかコンピーテント細胞条件がつくり出せないので、奮斗中である。 4.将来は、このプラスミド上の各種の遺伝子座をあきらかにすつるとともに、その膜結合機構についても明らかにしていきたい。
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[Publications] 中村運: Viva Origino. 15. 99-117 (1987)
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[Publications] 中村運: 蛋白質・核酸・酸素. 32. 1019-1030 (1987)
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[Publications] Nakamura,H.: Molecular Genetics. 6. 49-51 (1987)
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[Publications] 中村運: 遺伝. 43. 50-53 (1989)
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[Publications] Nakamura,H.: Journal of General Microbiology. (1989)
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[Publications] Nakamura,H.: Journal of Bacteriology. (1989)
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[Publications] 中村運: "細胞進化" 培風館, 295- (1987)
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[Publications] 中村運: "基礎生物楽〔改訂版〕分子と細胞レベルからみた生命像" 培風館, 275 (1988)