1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540517
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
壷井 基夫 福山大学, 工学部, 助教授 (60047404)
|
Keywords | 酵母 / 胞子形成 / 遺伝子 / 接合型 |
Research Abstract |
酵母S.cerevisiaeの胞子形成遺伝子spoT1-spoT23について, 表現型や機能時期を詳しく知るために以下の実験を行った. Scerevisiaeが正常に胞子形成をするためには, 細胞がa/αの二倍体であることと, 胞子形成培地に酢酸塩が存在することが通常必要とされる. 胞子形成不能突然変異体では, 当該の遺伝子が発現する時期に正常に機能しないためその細胞は死滅すると考えられる. 各胞子形成不能突然変異を持つ一倍体細胞とその変異をホモザイガスに持つ二倍体細胞を各々, 水のみで培養することにより栄養飢餓状態にした時と, 酢酸塩を含む胞子形成培地で培養した時の細胞の生存率を経時的に測定した. その結果, 野生型の一倍体や二倍体では上記の培養条件では生存率の変化は認められなかった. spoT7変異を持つ細胞は一倍体でも栄養飢餓だけで生存率が低下した. 即ち, この遺伝子の発現には酢酸塩の存在も接合型遺伝子の情報も必要ではないと考えられる. spoT2-spoT5,spoT8は栄養飢餓では生存率が低下せず, 胞子形成培地では一倍体でも生存率が低下した. これらの遺伝子の発現には酢酸塩の存在が必要であるが, 接合型遺伝子の情報は必要ではないと考えられる. その他のspo遺伝子は細胞が二倍体である時にのみ胞子形成培地中で生存率が低下した. 従って, これらの遺伝子の発現には酢酸塩の存在と接合型遺伝子座がヘテロメザイガスであることが必要と考えられる. 以上の結果より, 胞子形成過程では栄養飢餓に反応して先づspoT7が機能し, ついで培地に酢酸塩が存在するとspoT2-spoT5,spoT8の遺伝子が機能する. その後の過程の進行には接合型遺伝子座に依存して他の胞子形成遺伝子が順次に機能すると考えられる.
|
Research Products
(2 results)