1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540523
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Research Institution | The University Museum, the University of Tokyo |
Principal Investigator |
大場 秀章 東京大学, 総合研究資料間, 助教授 (20004450)
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Keywords | 南西諸島 / 分布 / 分断生物地理学 / 系統解析 / ウツギ属 |
Research Abstract |
本研究では、1)南西諸島の生物地理学的特性を掌握する、2)南西諸島の植物相の特性を掌握する、3)固有と考えられる種について生物地理学的考察を行うことを目的とした。今年度は、上記の3)について、ユキノシダ科ウツギ属を対象として研究を行った。 南西諸島からは従来マルバウツギの報告のほか、オオシマウツギ、ヤエヤマウツギ、オキナワウツギ、オオバナオオシマウツギの固有分類群が記載されてきた。現地調査で集団ごとの差異を調査し、またそれぞれのタイプ標本を検討した結果、マルバウツギの報告はオオシマウツギを誤認したものであること、ならびに、南西諸島の固有分類群として記載されたすべては、単一の種の差異に内包されることが判明した。この結果にもとづいて、分類体系を校訂し、南西諸島外にある近縁種との比較を行い、南西諸島のウツギ(オオシマウツギ)は、中国東部のDeutzia faberiに最も近縁で、この2種とマルバウツギも同一の祖先に由来する単一系統群であると推定された。 この結果にもとづいて、生物地理学考察を行った。初島(1971)は南西諸島の動物相が中国大陸からの影響を最も強く受けて成立したと考えたが、ウツギ属での場合はそのような推測を具体的に支持する。分断生物地理学は共通の地理的分断によって別の種へと分化した数多くの分類群を見い出すことが必要であり、さらに多くの分類群についての系統解析を行っていくことが望まれる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] OHBA,Hideaki: Pacific Science. 42.
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[Publications] OHBA,Hideaki: Bull.Biogeogr.Soc.Jap.44.
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[Publications] OHBA,Hideaki: Acta Phytotax.Geobot.40.