1987 Fiscal Year Annual Research Report
クラミドモナス葉緑体遺伝子母性遺伝機構の分子形態学的研究
Project/Area Number |
62540530
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小川 和男 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物研究所, 助手 (30132731)
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Keywords | クラミドモナス / 葉緑体遺伝子 / 母性遺伝 / モノクローン抗体 / 細胞表面 |
Research Abstract |
クラミドモナスでは雌雄配偶子の接合によって雄性配偶子由来の葉緑体遺伝子が破壊され, 雌性配偶子由来の葉緑体遺伝子のみが接合子に伝えられる母性遺伝機能が存在する. 接合から葉緑体遺伝子の破壊まで約50〜60分であるので, 当該年度では, 接合直後の細胞表面に対するモノクローン抗体をいくつか調整し, 抗体が母性遺伝の分子機能解明に役立つかを検討した. 1.接合子の鞭毛表面とは反応するが他の細胞表面とは反応しないモノクローン抗体 クラミドモナスは同型配偶子であるので接合直後では葉緑体の由来が明らかでない. この抗体を接合前にあらかじめ配偶子の片方に結合させ螢光色素で標識しておけば, 接合子中での配偶子の位置が決定できる. 2.接合子の細胞表面とは反応するが鞭毛表面とは反応しないモノクローン抗体 1の抗体と同様に接合子中での雌雄配偶子起原の葉緑体の位置を決定するのに有用である. また1と比較することで, 配偶子および接合子の細胞表面の不均一性を明らかにできることが期待される. 3.配偶子を凝集させるモノクローン抗体 この抗体は配偶子を凝集させた. しかし未処理配偶子との接合は阻害できなかった. 雌雄配偶子をこの抗体で処理させ, 接合させる実験はしていないが, もし接合が阻害されることになれば, この抗体は雌雄配偶子の接合上重要な表面部位を認識していることになる. 当該年度では接合子の細胞表面と反応することでモノクローン抗体をいくつか調整してきたが, 最終年度では3で述べたような接合過程というような生命現象に何らかの影響を与えるという点に注意して, 抗体をスクリーニングしていきたいと思っている.
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