1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540536
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Research Institution | Teikyo University, Faculty of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
水野 丈夫 帝京大学, 薬学部, 教授 (50011490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八杉 貞雄 東京大学, 理学部, 講師 (70011591)
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Keywords | 細胞分化 / 形態形成 / 上皮ー間充織間相互作用 / 胃腺形成 / ペプシノゲン / サイトケラチン / 尿嚢 |
Research Abstract |
細胞分化と形態形成のアンカプリング系として以下の3系が開発された。 a系:ニワトリ胚尿嚢上皮/ニワトリ胚前胃間充織 b系:ラット成体膀胱上皮/ラット胎兒尿性殖洞間充織 c系:アンドロゲンレセプター欠如マウス胎兒尿生殖洞上皮/正常ラット胎兒尿生殖洞間充織 昭和63年度は、このa系を用いて、細胞分化と形態形成アンカプリング機構が追求された。すなわちa系においては前胃腺構造が尿嚢上皮より誘導されるが、この腺細胞はペプシノゲン抗原も産生しないし、ペプシノゲンmRNAも転写していない。 まず、正常前胃腺形成のさい、ペプシノゲン出現以前は前胃上皮にサイトケラチンが発現されているが、ペプシノゲン合成が前胃腺形成にともなって始まると、そのサイトケラチン発現が急速に減少し、やがて全くみられなくなる。そのような時期でも、ペプシノゲンを合成しない胃内腔に面した胃上皮では、サイトケラチンの低下がみられない。 次に、尿嚢上皮/前胃間充織再結合片において上皮サイトケラチンの消長を追求したところ、ペプシノゲン合成をおこなわない尿嚢上皮は、前胃間充織の誘導により典型的な前胃腺を形成した後も、上皮サイトケラチンの低下は全くみられなかった。また、これにより、前胃腺形成に上皮サイトケラチンの消滅が関係ないことも明らかになった。 これらの発見は細胞の最終分化をコントロールする機構の解明に関わるものとして注目に価いする。上皮サイトケラチンが細胞自身の形態発現や運動に直接がかわっていることはこれまでも多くの証拠があるが、本研究により上皮細胞分化調節の鍵をにぎっている可能性がはじめて考えられるようになった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] MIZUNO,T.: Development. (1989)
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[Publications] MIZUNO,T.: Zool.Sci.5. 999-1006 (1988)
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[Publications] HAYASHI,K.: Development. 103. 725-732 (1988)
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[Publications] TAKIGUCHI,K.: Develop.Growth and Differ.30. 241-250 (1988)
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[Publications] SUEMATSU,N.: Zool.Sci.5. 385-395 (1988)
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[Publications] TAKIGUCHI,K.: Roux' Arch.Dev.Biol.197. 56-62 (1988)
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[Publications] 水野丈夫: "器官形成" 培風館, 1-296 (1988)
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[Publications] 水野丈夫: "細胞分化の安定性と転換性" 東京化学同人, 1-163 (1988)