1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62540537
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩田 正樹 東京大学, 医学部, 助手 (80134526)
|
Keywords | DNA複製 / DNA複製速度 / DNA複製単位 / DNA複製開始点 / DNA複製部位 / 発生 / ウニ胚 |
Research Abstract |
動物の発生初期胚は大腸菌や一般の真核細胞に比べ細胞当り数百〜数十倍のDNA複製速度を持つが, 発生後期ではその数十分の一に低下する. 本研究ではこの現象を発生中のウニ胚よりDNAを単離し, 電子顕微鏡によりDNA上の複製領域を観察することに解析した. その結果, 単離したDNA上にDNA複製部位は複製フォーク(replication fork)として, 複製単位(replicon)は複製目(repliction eye)としてそれぞれ観察された. 複製目ではその60%に内部にトランス位に配位した岡崎断片(Okazaki fragment)合成の場と思われる約100-200塩基長の一本鎖DNA部分がフォーク部に存在するのが判明した. このことよりDNA複製は複製開始点より二方向に等速に半不連続(semi-discontinuous)に進行することが証明された. 複製フォークの構造は発生の時期にかかわりなく一定であった. しかし, 複製単位の長さや頻度は発生の時期に依存して大きく変わっていた. すなわち, 初期胚(桑実胚)より単離したDNA(10-30キロ塩基長)の29%に複製目が存在したのに対して, 後期胚(プルテウス胚)では1%以上であった. さらに, 初期胚で複製目は平均1.2キロ塩基長へだてて4-5個が群がって存在した. このことより, 初期胚では1.2キロ塩基長へだてて群になった複製開始点が多数のDNA上に存在しDNA複製に関与するのに対して, 後期胚では少なくとも10-30キロ塩基長以上離れた複製開始点よりDNA複製が開始されることが判明した. 以上より, 本研究により動物(ウニ)初期胚のDNA複製速度は発生に依存して出現するDNA複製開始点の数により調節されていることが解明された. また, 本研究ではこの調節がウニ胚の核に特異的に行われているものか, 否かを調べる目的でウニのミトコンドリア, 細胞性粘菌の核, ラットの核のDNA複製に関しても生化学的側面から並行して研究した.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] N. Shioda: Cell Defferentiation. 20. 11-16 (1987)
-
[Publications] M. Shioda: Comparative Biochemistry and Physiology.
-
[Publications] Y. Matsuzawa: Cell Structure and Function. 12. 243-250 (1987)
-
[Publications] S. Usuki: Hormone and Metabolic Research. 19. 508-509 (1987)