1987 Fiscal Year Annual Research Report
細胞マイクロ操作による受精・細胞分裂における細胞運動の研究
Project/Area Number |
62540538
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
浜口 幸久 東京工業大学, 理学部, 助教授 (70016161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜口 みやこ 東京工業大学, 理学部, 教務職員 (60192275)
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Keywords | 細胞 / マイクロ操作 / 受精 / 細胞分裂 / 卵 |
Research Abstract |
1.ウニ受精直後, 前核の運動中に, 星状体から核をひきはなす. 星状体と核の間に微小針を入れて核と星状体間の星糸を切断するという様なマイクロ操作を行うと, 核の近傍の微小管と核との接合部分がはずれ, 核運動は止まる. しかし, すぐに星糸が再結合して動き出すことがわかった. 2.ATPのアナログ物質であるAMPPNP, AMPPCP, ATPαSのウニ卵内へのマイクロ注入実験を試みた. AMPPNPは核運動を遅くしたり止めたりすること, また, 核分裂中に注入しても, 染色体運動はおそくなり, 分裂装置が小さくなり, 極と極の間が短くなることがわかった. ATPαS´は, 低い濃度で, 媒精後の表層粒崩壊を阻害し, もっと高い濃度では細胞分裂も阻害することがわかった. もう一つのアナログのAMPPCPは細胞内へマリクロ注射しても何も効果がなかった. 3.ヒストンに蛍光標識を行い, この蛍光標識したヒストンを細胞内にマイクロ注射すると核や染色体に蛍光が観察され, 染色体の運動も細胞が生きたままで観察することができる. しかし, 蛍光標識ヒストンを多量に注入すると, 細胞分裂が阻害されるので, 染色体の蛍光強度があまり強くならず, 染色体運動の詳細が観察できないため, 現在方法を改良中である. 4.チューブリンのモノクローン抗体のYL1/2をウニ卵第一分裂前中期にマイクロ注射すると, 細胞分裂がおきず, 中期や後期にマイクロ注射しても細胞分裂はおこってしまう. この現象を偏光顕微鏡で観察すると, 分裂装置は抗体のマイクロ注射によって小さくなり, 極と極の間も短くなって染色体はほとんど運動せず, それ故, 細胞分裂もおきないのではないのかと推察される.
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[Publications] 馬渕一誠, 浜口幸久: 生体の科学. 38. 501-503 (1987)
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[Publications] 浜口幸久: 生物物理. 27. 262-267 (1987)
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[Publications] Hamaguchi, Y. ;Mabuchi, I.: Cell Motility and the Cytoskeleton. 9. (1988)